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トップメッセージ

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Data to Dataのシステムの
浸透で
日本社会のDXを
促進することにより
社会的課題の解決と
環境対策を目指します
代表取締役社長
中島 健

平素より当社に格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。代表取締役社長、中島健です。2022年1月の就任から、2年が経過しました。
私は新卒で三和銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行し、ITベンチャー企業との提携による事業開発業務を通じて、2000年にインフォマート創業者の故・村上勝照氏と出会いました。当時は銀行員としてまだまだ頑張るつもりでしたが、当社の革新的なビジネスモデルと「本気で世の中を変える」という村上氏の理念に共感し、共に世の中を変える達成感を味わいたいと、転職を決意しました。
入社後は担当役員としてASP請求書システム(現:「BtoBプラットフォーム 請求書」)の立ち上げから事業拡大に携わり、現在に至るまで、日本社会のDXを世界水準レベルに推進すべく、尽力しています。

インフォマートのBtoBプラットフォームはESG対策に直結

当社は、膨大な紙の請求書、契約書などをデジタルデータ化することで、CO2削減につながる事業を行っています。
また、当社事業の特長はDtoD(Data to Data ※1)のシステムであるという点です。多くの電子請求書システムはAtoD(Analog to Data ※2)の形を採用しており、取引先はアナログデータで請求書を送付し、システムを導入した側がデータ化し受領する方法です。それに対し、当社のシステムは導入企業だけでなくその取引先にもデータ化いただくため、取引先の賛同を得なくてはなりませんが、日本全体のDXを促進します。IT後進国と言われることも多い日本ですが、当社の事業発展は日本社会の発展・持続可能性につながると考えています。

※1

Data to Data 受発注や請求、見積もり等企業間で発生する様々なやりとりをデジタルデータのまま行う仕組み。

※2

Analog to Data メールやクラウドツールで書類を送付。受領したメールやPDFをAIOCRでデータ化し電子保存。

コロナ禍をプラス転換し2023年の成果に

2023年のフード事業の成果は、2点あります。まず1点目は、新マーケット発見による導入企業の拡大です。1998年の創業以来、当社はフード業界に企業間電子商取引(BtoB)プラットフォームを提供し、特に飲食店(主に外食チェーン)向けの「BtoBプラットフォーム 受発注」は、コロナ禍前の段階で全国外食チェーンの約半数の企業に導入いただく形となりました。そのため、この受発注ビジネスは成熟事業だという認識でしたが、この2年間のコロナ禍が意外な追い風となり、新規マーケットを開拓できました。新型コロナウイルスの影響によるフード業界のダメージは大きく、2021年頃は当社の業績にもマイナス影響がありました。しかし、飲食店以外にホテル、旅館、給食へと販路を広げ、地域的にも首都圏中心から地方へリーチを広げるチャレンジをしたところ、大きなマーケットを発見でき、導入企業が拡大しました。
2点目は、当社のフード業界における「BtoBプラットフォーム」には、卸企業のために受注をデジタル化するシステム「BtoBプラットフォーム 受発注ライト」もありますが、こちらは今まで導入が進んでいない分野でした。しかし、コロナ禍でのリモートワークの普及により、卸企業の皆様にも一気にデジタル化の機運が高まり、導入企業が劇的に増加しています。

全業種向けサービスが100万社導入を突破

一方で、2015年に開始した全業界向けの「BtoBプラットフォーム 請求書」は、業界の垣根を超えた新たな当社の柱として成長を続け、2023年には利用企業数が節目としてきた100万社を突破しました。2023年10月から始まったインボイス制度が追い風となり、請求書のデジタル化が求められたことによって、導入企業が大きく増加しています。
さらに、請求書のデジタル化により利便性を実感くださった企業の皆様が発注書、見積書、納品書などを含めた商流全体をデジタル化すべく「BtoBプラットフォームTRADE」という全業界向けの受発注システムを導入してくださる例が増えています。商流全体をデータ化するにはAtoDではなくDtoDである必要があるため、ここは当社の強みが最も活かせる分野だと考え、今後の展開も明るいと予測します。

事業拡大で新たな発展の土壌を

2023年の新規トピックスは、3点あります。
1点目は、デジタルガバメント部門を創設し、自治体ビジネスへの注力を始めたこと。その一環として兵庫県西宮市で「BtoBプラットフォーム」を活用した実証実験を開始したところ、自治体に関連する企業への導入も進みました。また、地方の一般企業の当社に対する信用力も増し、大きなプラスの影響となっています。
2点目は、マネーフォワード様のグループ会社であるマネーフォワードケッサイ様と連携した新サービス「掛売決済」をスタートしたこと。「BtoBプラットフォーム 請求書」を導入した企業へのオプションとして、取引先の与信審査から代金回収、入金消込、督促連絡、売掛金の入金保証まで行うサービスで、好評をいただいています。
そして3点目は、「BtoBプラットフォーム 請求書」が、請求書クラウドサービス市場における「国内シェアNo.1」を3年連続で獲得したことです。
汎用性の高さから売上規模の大小を問わず、様々な業界・業態で多くの企業にご利用いただいており、2023年12月末時点で利用企業数は100万社を越え、東京証券取引所プライム市場上場企業の利用率は約96%※に達しています。 ※株式会社東京商工リサーチ調べ

人的資本とガバナンス

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人的資本とガバナンス

有価証券報告書への人的資本に関する情報開示の義務化が注目されていますが、当社の人的資本への取り組みは、数値化できるもの、できないものの両面で進めています。
数値化できるものでいうと、ダイバーシティや女性比率を高めることに加え、産休・育休の取得率も上がり、女性は100%で平均1.5年、男性も60%以上で平均2カ月となっています。さらに数値だけでなく、男女ともにキャリアに傷がつかない・中断しない環境作りと、社員が休みやすく戻りやすい体制にするべく取り組んでいます。
数値化できないものについては、社員のモチベーションやエンゲージを高めることが重要だと考えています。2023年には私の「通信簿」としてツールを活用し社員からの評価と忌憚ない意見を集めました。結果、トータルの評価はそれほど悪くはなかったのですが厳しい意見もいただいたので、その結果も社員に開示し、マイナスな部分を改善するという決意表明を行い実際に努力しているところです。
一方で、コーポレート・ガバナンスについても、取締役会や経営会議、指名報酬委員会などの会議体の実効性を高める取り組みも行っています。

環境負荷マイナスへの取り組み

TCFD提言に沿った情報開示としては、最新の2022年情報ではScope3で当社のサプライチェーンが排出する二酸化炭素は約1万t。これは主に、大量のデータを処理するためのサーバー運用によるものです。その一方で、当社の顧客企業のペーパーレス化などで削減された二酸化炭素は約4000tと、現状は排出量が削減量の約2倍です。
2024年以降、オンプレミスのデータセンターを所有する現在の体制から、クラウド化に徐々に切り替えていくことを予定しているため、排出量と削減量は将来逆転する予定です。今までは障害・災害対策のためにバックアップ含めて複数のサーバーを構えていましたが、技術の進化により安全性を棄損せずクラウド化できる見通しが立ち、今後は環境負荷をマイナスにできることとなります。

日本社会が抱える課題への貢献

日本が抱える課題の中で、例えば、フードロスとフードマイレージ問題については解決策を提供できると考えています。現状でAI企業との提携による自動発注システムの提供を開始しており、発注の精度が上がることでフードロスの削減に貢献できています。フードマイレージについては、当社の受発注データを総合的に分析することで、将来的に無駄が洗い出せると予測しています。
また、創業25周年を記念して社員から事業のアイデアを募集したところ、いろいろな社会問題に対するソリューション企画案が出てきましたので、今後、適宜検討をしたいと思っています。

中期経営計画の進捗と新規ビジョン、今後の展開

社長就任時に立てた中期経営計画の2026年ゴールである売上高200億円、営業利益50億円、売上高営業利益率25%に向け、2023年の実績は当初設定した目標を上回り順調に推移しています。他社とのシステム連携を進めるという方針も着実に実現しています。他方、22年までは積極投資姿勢で将来の売上を大きく伸ばすため減益が続いていました。
そこで、中計後半となる23年から26年にはより利益を重視し、増益基調を継続する、という方向へ方針転換します。
さらに、コロナ禍を経たこの2年間の変化を鑑みて、今後の事業の方向性を新たに定めました。それは、「DtoDを業界特化でスピーディーに世に広め、フード事業と同水準のDXをひとつでも多くの業界で実現してゆく」というものです。
当社は、フード業界においては単なるシステム販売だけでなく、導入企業同士の情報交換の場やマッチングの場を提供し、各社のノウハウを集積して他の導入企業へ展開するなど、人手も手間もかかるフォローを無償で行っています。
これは一時的な収益にはならずとも業界全体の発展を促し、将来的な利益にもつながります。これをフード業界以外にも広げることは、単に業界全体の業務の効率化だけでなく、日本社会への貢献だと考えています。

事業拡大への課題とアプローチ

今後の課題としては2点。1点目はCustomer Success強化。フード業界を含め、全業種・業界で顧客満足度を更に向上させていくことが必要だと考えています。2点目が、ナレッジマネジメント。導入いただいた企業へのノウハウを、より共有できる形に整理して構築し、100年続く企業を目指していきます。

ステークホルダーの皆様へのメッセージ

DtoDのシステムを世の中に普及させていくことは、アナログ主体の企業には今までのやり方を変える点で面倒で手間のかかることですが、日本がIT後進国から脱却し持続的に発展するために不可欠です。
これはDtoDの戦略ができている会社にしかできないことであり、当社社員には、社会へ貢献する仕事だという矜持を持って欲しいと常々語っています。
利用企業数100万社を突破し、扱う商流も40兆円を超える勢いとなりましたが、日本の商流全体をDXするニーズは今後さらに高まると予測され、まだまだ入り口に過ぎません。今後、引き続き当社企業価値の最大化を目指して参りますので、ステークホルダーの皆様におかれましては、引き続きご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。