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トップメッセージ

代表取締役社長 中島 健

フード業界から建設業界、
さらに他業種へ
Data to Dataのシステムを
深く浸透させて
環境対策に貢献し、
社会の持続性を高めます

代表取締役社長
中島 健

平素より当社に格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。代表取締役社長、中島健です。2022年1月に社長に就任し、3年が経過しました。
私は幼少期の5年間(父の赴任に伴い)、南アフリカの大自然の中で育ち、大学時代は体育会ラグビー部に所属し、己を鍛える学生でした。これらの経験が、私の冒険心や英語力、そして障壁を打破する力の基盤になっていると自負しています。
新卒で三和銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行し、ITベンチャー企業との提携業務を担当する中で、2000年にインフォマート創業者である故・村上勝照氏と出会いました。「本気で世の中を変える」という村上氏の理念と、革新的なビジネスモデルに共感し、2010年に当社へ入社しました。
入社後は担当役員として人事制度の構築や法人営業の改善を推進する一方、ASP請求書システム(現:BtoBプラットフォーム 請求書)の立ち上げから事業拡大に携わり、現在に至るまで日本社会のDXに尽力しています。

インフォマートの事業はサステナビリティに直結

当社の事業はDtoD(Data to Data※1)のシステムを基盤として、膨大な紙の請求書・契約書・発注書などをデジタルデータ化することでCO2削減の推進に直接貢献しています。一般的な電子請求書システムは、取引先がアナログデータのままでも導入できるAtoD(Analog to Data※2)の形態が多いですが、これは導入障壁が低い反面、日本社会全体のペーパーレス化を部分的なものにとどめてしまう要因にもなっています。当社の目指す姿は、DtoDシステムの導入によって、受発注を行う双方の企業がコスト削減やデータ活用を進め、使ってくださる方の業務負担を軽減しながら環境負荷を低減することです。その結果、日本社会の発展や持続可能性が高まるーこれこそが、当社だからこそ提供できる価値であると考えています。 2023年に創業25年の区切りを迎えた際はコーポレートロゴやタグライン、コーポレートサイトの刷新を実施し、2025年1月にはブランドムービーを公開しました。このムービーでは、当社の歴史やビジョンをアニメーションで表現し、私たちが目指す社会貢献のあり方をより多くの方に伝えることを目的としています。

  • ※1

    Data to Data
    受発注や請求、見積もり等企業間で発生する様々なやりとりをデジタルデータのまま行う仕組み。

  • ※2

    Analog to Data
    メールやクラウドツールで書類を送付。受領したメールやPDFをAIOCRでデータ化し電子保存。

中期経営計画の進捗と新規ビジョン

社長就任時に掲げた中期経営計画では、2026年に売上高200億円、営業利益50億円を目標としています。2024年の実績数値は計画を上回る成果を達成し、順調に推移しています。
特にFOOD事業は、従来の飲食業界に加え、電子化が遅れていた卸業の受注市場が大きく成長し、業績を押し上げました。一方、ES事業では、インボイス制度開始に伴う特需の反動が予想よりも大きく計画は若干下回りましたが、特需前の時期と同様のペースで着実に成長を続けています。
2025年12月期の業績予想は、売上高194億円、営業利益23億円の見込みであり、2026年の売上高、営業利益目標達成も視野に入って参りました。引き続きポストコロナの社会変化を追い風とし、より積極的な成長戦略を打ち出していきます。

建設業の受発注DXで業界全体を活性化

この積極的な方針のもと、2024年の新規トピックスとして3つの重点施策を掲げています。
まず1つ目は、「業界DtoD戦略の推進」です。フード業界以外の業界に受発注システムを本格展開し、今後FOOD事業のような業界を一つでも多く作っていくことを目指します。
当社は現在、第3フェーズに突入していると考えています。
第1フェーズ(1998~2014年):創業期。フード業界に特化したBtoBプラットフォームを構築、2024年末には買い手企業4,100社、売り手企業4万6,000社に導入。流通金額は2.5兆円を突破し、フード業界国内シェアNo.1を達成。
第2フェーズ(2015年~):全業界向け電子請求書サービスを開始。2024年末には114万社導入を達成。
第3フェーズ(2022年~):フード業界以外の業界にも深くリーチし、新たな受発注の業界標準を構築。2024年には、建設業界の受発注DXに本格参入し、業界全体のデジタル化を推進。今後は建設業界の業界標準の確立並びにその他の業界開拓を目指し、取り組みを加速していきます。

地方拠点の強化で自治体ビジネスも拡大

2つ目は、「地方拠点の強化」です。2024年には札幌・名古屋・沖縄に新拠点を開設しました。新規顧客開拓だけでなく、既存の地方中堅・大手企業へフォローを強化し、導入のさらなる拡大を図ります。
また、地方自治体向けのデジタルガバメント事業にも注力。自治体向けシステム導入には大きなコストと時間がかかるものの、その結果として独走状態のシェアを確立しました。自治体への導入は、単なる収益拡大にとどまらず、地域社会との信頼構築につながる重要な施策と位置付けています。

価格改定が売上へ寄与

3つ目は、「BtoBプラットフォームの価格改定」です。これまで、企業のコスト削減を優先し、非常に低価格で提供していましたが、適正な価格設定への見直しを実施。これにより、売上面での大きなプラス要因となっています。

環境負荷マイナスへの取り組み

サステナビリティへの取り組みは、事業内容がCO2削減に直結する企業として、変わらず重要視しています。TCFD提言に沿った情報開示として最新の2023年情報では、Scope3で当社サプライチェーンが排出する温室効果ガスが約1万1,000t。その7~8割がデータ処理のためのサーバー運用によるものです。これは現在、オンプレミスのデータセンターを所有する体制からクラウドへ移行していく過程であるため、2025年の排出量は7,000tへ減少するという見込みです。
逆に、当社システムの導入により削減されたCO2排出量は、2024年に5,000tを超えました。これは「BtoBプラットフォーム」の導入が進んでいることが理由。今後も、BtoBプラットフォームを通じた発注書や請求書、契約書等のペーパーレス化は進み、数年後には、CO2削減量が排出量を上回る予定です。

人的資本への投資で100年持続する企業へ

人的資本への取り組みについては、前年同様ダイバーシティや女性比率を高める取り組みを進め、産休・育休の取得率はさらに上がりました。24年度実績で女性は100%、男性は72.2%です。
2025年1月には、人事部門のトップを招聘。当社の「人で勝つ経営」という理念に賛同する、実務能力に優れた人材です。近く30年の節目を迎える当社が100年持続する企業になるためには、良いビジネスモデルを維持しつつ、改善できる人材を多く育てる仕組みづくりが不可欠です。そのために大切なのが、仕事を通して得られる「報酬感」を変革することだと考えます。
一般的な報酬である給与だけでなく、「やりがい」=成長と達成感、「働きがい」=社会貢献感や自分が仕事をする意義、の2点を報酬だと実感できた人材は、世の中に役立つ業務を渇望し、自ら積極的に進めていきます。今後は今まで以上にそのような人材の育成部門を強化する一方、メンタルヘルスマネジメントなどにも注力します。

代表取締役社長 中島 健

日本社会の課題に対するアプローチ

日本の現状としては、サステナビリティとDXがうまく連動しておらず、中小企業のペーパーレス化を含めた環境対策が進まないことが課題だと考えます。日本全体のDXはコロナ禍のリモート普及により大きく進みましたが、大企業が導入するシステムはオンプレミスでコスト負担が大きいものが多く、中小企業にとってはDXのメリットを感じられないものとなっています。このコスト面は、クラウドを使う当社のDtoD方式であれば解決策を提供できます。一方サステナビリティとDXの連動に関しては、現状で当社HP上に当社サービスを通じたペーパーレス化によるCO2削減量を表示していますが、これをユーザーごとに削減したCO2量を表示するなどし、見える化することでモチベーションを上げるような仕組み作りを計画しています。

事業発展への課題と今後の展開

今後の課題は、ナレッジマネジメントと開発スピード。ナレッジマネジメントについては、フード業界で培った手法を他業界で展開する際に、どう形式知化し、誰もが応用できるようにするか。たとえば導入企業同士の情報交換やマッチングの場の提供、集積した各社ノウハウの他導入企業への展開など、当社が行なっている業界発展のための知見を、フード業界以外の業界でも展開する仕組み作りが急務です。これは単に業務の効率化にとどまらない、日本全体の活性化につながる貢献だと考えています。
開発スピードについては、すでに変革中です。以前はウォーターフォール開発で小さな修正にも時間がかかっていたところ、アジャイル開発に変えて機能ごとに細かく修正開発できる方式にしています。これが完成すると、開発スピードが一気に上がり、きめ細かい対応が可能となります。

ステークホルダーへのメッセージ

DtoDのシステム導入を広げるという当社のビジネスモデルは、「日本社会をより良くする」という理念のもとに構築されています。導入115万社、年間商流60兆円を超える現在も、商流DXのニーズは拡大し続けています。
今後も企業価値の最大化を目指し、邁進してまいりますので、引き続きのご支援、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。