logo_infomart
2009.11.15
メディア掲載

〔宣伝会議 138、139頁〕 創業社長は最強マーケター

〔宣伝会議〕 創業社長は最強マーケター  2009年11月15日発行/138、139頁

 製造・原料メーカーから卸・問屋、外食店や小売店まで、食品にかかわる事業者の数は120万を超えると言われている。インフォマートでは1998年から、食品業界向けにBtoBの取引システムを提供してきた。同社の村上勝照社長は食品業界の出身ではないが、地元で食のビジネスにかかわる人々へのヒアリングを重ね、事業を立ち上げてから12年。現在、約2万社が利用するシステムへと成長している。

約2万社が採用する取引システムへ成長
「食の安全」に対応する規格書面作成の支援も

 「独自色の強い商品を買い付けたいが、営業マンが直で売り込んでくる商品はニーズと合っていない」と嘆く、百貨店の食品担当バイヤーの声。「もっと東京に自社の商品を売り込みたいが、出張費がかさんで難しい」と諦めている、地方の食品メーカーの声・・・。村上社長は起業する前年の1997年、地元・山口県で不動産業界の営業をしながら、食品関連ビジネスに携わる人々へのヒアリングを重ねていた。

 今となっては、地方の食材が全国に出回る「産地直送」や「地方物産展」の仕組みは当たり前のように存在しているが当時は、にわかに注目され始めたくらいの時期。村上社長が10ヶ月にわたるヒアリングを経て気付いたのは、食品や原材料の「買い手」「売り手」の双方のニーズをマッチングさせる場所がないということだった。

始まりはファックスで送ったDMから
「売りたい」「買いたい」顧客を囲い込む

 展示会やカタログを介して両者が出会うこともあるが、かねてから起業を志していた村上社長は、「他人が手掛けているビジネスの後追いでは成功しない」という思いを強く持っていた。

 そこで行き着いたのが、黎明期であったインターネットの活用である。一般消費者がネットで食品を買うには、まだ抵抗のある時代だったが、BtoBの取引は大きく伸びる可能性があると考えた。97年の終わりに事業計画を立て、98年にすぐさま起業。ファックスでDMを送る地道な活動で全国の食品関連事業者に営業をかけ、瞬く間に取引システムへの申し込みが集まった。

 起業した当時は、売り手と買い手のマッチングシステムを中心としていたが、現在は3つのシステムを柱に事業を展開している。約5000社が利用している、企業間の商談を支援する「商談システム」。外食チェーンとその取引先約1500社などを中心に利用されており、年間流通額が約4200億円にも達する「受発注システム」。食の安心・安全を裏付ける情報開示のために、約3000社が導入している「規格書システム」だ。

「この十数年で食のビジネスを取り巻く環境は大きく変わり、ニーズも変化している」と村上社長。特に「規格書システム」は2005年、食の安心・安全が揺らぐ数々の不祥事が取り沙汰されるなかで開発したものだ。仕入れ商品や原材料、製造工程、原産国などの項目を同一のフォーマットで開示することで、透明性の高い取引を支援。買い手にとっては、仕入れ商品や原料の商品規格書のデータベースを一元管理できる。

日本の食品・飲食関連事業者数は120万
中国など海外でのライセンス展開も狙う

 今年5月には香港に子会社を設立。現地企業に取引システムのライセンス提供を行う。以前から海外展開も視野に入れてきたが、ようやくその一歩を踏み出した。今後もアジアを中心に、進出を図る。

「国内では、まず食品業界のシステム標準化を目指す。一部の人が使うシステムではなく、社内全体の業務フローに組み込まれるような仕組みを目指したい。さらに食品業界に限らず、他業界でも水平展開していくのが理想」と意気込みを見せる。