〔生産性新聞 9面〕 活躍する個人~個による“強さ”の体現
〔生産性新聞〕 活躍する個人~個による“強さ”の体現 2009年1月5日発行/9面
第3回ハイ・サービス日本300選を受賞したインフォマートは、フード業界最大の企業間電子商取引プラットフォーム「フーズインフォマート(FOODS Info Mart)」を運営している。
同社の主力サービスは、製造・配送・販売の各事業者向けのASP(Application Service Provider)方式による商談・受発注・規格書システムの3つだ。外食・スーパーなどの「買いたい」というニーズと、生産者などの「売りたい」というニーズのマッチングを図ることで、1998年創業当時の200社から取引社数を順調に伸ばしている。08年現在では、取引社数は約1万8000社にも及ぶ。
代表取締役社長である村上勝照氏は、起業前は、「他に誰もやっていない、世の中の役に立つ仕事がしたいと漠然と考えていた」という。そんな中、仕事で知り合った百貨店の役員に、「百貨店の仕事で景気の影響を受けないのは食品、化粧品、ブランド品だ」というアドバイスを受け、食品関係の起業を思い立つに至ったという。
当時は各百貨店で地域の物産展を始めた頃であり、買い手には「あまり世に出ていない地域のいい食材を探したい」というニーズがあった。一方で、売り手には「首都圏に売り込みたいがルートやノウハウがない」という声があった。
同じようなニーズを持つ買い手、売り手を結びつける方法がないか考えた村上氏がたどり着いた答えがインターネットだった。村上氏はその理由について、「97年当時は日本国内にはBtoBの商取引サイトがひとつも無かった。時間と場所を問わず取引できるインターネットなら、買い手・売り手双方のニーズを満たせるのではないかと考えた」と語る。
98年2月にインフォマートを設立した村上氏は、同年6月、買い手100社、売り手100社で現在のASP商談システムである「食品食材市場」をスタートさせた。インターネット上で買い手、売り手双方が必要とする取引相手を探して商取引を行う仕組みだ。実際に取引に結びつき、年間売上高が10億円以上伸びた事業者もあるという。
03年からは新たに「ASP受発注システム」を開始。受発注などの日常業務をシステム化するもので、顧客の「受発注業務の簡素化を図りたい」という声に応えたものだ。業界標準化を目指して拡大を続け、08年6月には利用店舗数が1万店舗を突破した。
顧客ニーズに合わせて次々と新たなサービスを提供する同社は、将来的には国際展開も視野に入れているという。「現在は食品分野に深く関わっているが、インフォマートという社名は食品分野に限らず横展開したい、国際展開したいという思いでつけた。日本のいい食材や商習慣を海外に紹介することができるのではないか」(村上氏)という考えからだ。
現在、フード事業に関わる事業者は、140万にも上る。「将来的には業界標準システムとして、すべての事業者に使ってもらい、電話と同じように、事業所の端末から自由にインターネットで受発注が行えるようになって欲しいと考えている。当社のシステムを広く使ってもらうことで、買い手・売り手双方が喜んでもらえればと考えている」と村上氏は締めくくった。
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