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2008.04.22
メディア掲載

〔財界 春季特大号〕 トップは挑戦する

〔財界 春季特大号〕 トップは挑戦する 2008年4月22日発行

インフォマート社長 村上勝照
32歳で、食品食材の売り手と買い手をつなぐ”企業間取引サイト”を起業
「世の中のためになり、喜んでもらえる仕事をしていきたい」

売り手、買い手をマッチングする!

 生まれ故郷、山口県の建設・設備会社に勤務していたときのこと。地元百貨店での北海道物産展の催事場づくりを手伝っていた際、百貨店の食品購買担当の幹部がふとこぼした。
 「お客さんたちが探し求めている食材がなかなかなくて困っているんだよ」――。高校の先輩で知り合いのこの百貨店幹部の言葉に触発された。
 「大手の企業でも、欲しい食材はなかなか発見しにくいんだな。これは面白いと」ピンと感じるものがあった。
 百貨店は、欲しい食材を発見、発掘しにくいし、一方、食材を売りたい人もなかなか販売ルートを開拓しにくいという現実。売りたい人、買いたい人の双方がもがいている。「売りたいと買いたいをマッチングさせれば面白い」――。31歳のとき、そう感じてからの行動は早かった。
 次に、双方をどうやって結びつけるのかという課題に直面。「ネットは最初、頭になかったんです。初めの頃は一品一品を届けていた。しかし、これでは単なるブローカーになるよと。多くの産地の食材を一度に紹介できる仕組みはつくれないかと考えました」
 カタログを作ったらどうかと考えたりしたが、コストなどのことを考えると実現は難しく、ネットを活用することにした。その頃、楽天やヤフーも同じようなサイトを提供し始めていた。
 しかし、楽天やヤフーはBtoC、つまり“企業から企業へ”の流れとは違う。「企業間のサイトは、まだ誰もやっていないし、必ずニーズはあるぞ」と考えた。
 1998年2月、インフォマートを設立。資本金は1010万円、32歳のときであった。
「世の中にないものを創り出し、世の中に役立つ仕事をしたい」という志を持っての起業。その志は今も変わらない。
 こうして企業間取引サイト「食品食材市場」が誕生。インフォマートは、有料会員を募り、売り手と買い手の資格調査を行うだけ。自らは商材の売り買いには直接タッチしない。商品点数は約12万点、有料会員として約5千社が参加。
 マーケットプレイス運営の先駆者といわれる同社だが、しばらくして、「受発注機能を会員以外の既存取引先が利用できるようにしてもらえないか」という相談をもちかけられた。
 また、取引を始める前の商談を効率よくやりたい--という声も聞いた。取引先からの商品提案やサンプル評価などの商談業務は、電話、FAX、メールなどでやり取りするのだが、必要なときに相手がつかまらないという悩みが少なくない。
 さらに、商品発掘の展示会に多忙で出席できない人たちのためにと、『ASP商談システム』を開発。攻めの経営が続き、2006年(平成18年)8月東証マザーズに株式を上場。
 食の安心・安全が強く望まれる今、世の中に役立つという原点に立って、「まじめな企業、取引先と一緒に歩んでいきたい」と語る。