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ペーパーレス化により電子請求書に移行するメリットとデメリット

欧米と比べて日本は、請求書の電子化や仕様統一などにおいてかなりの後れを取っています。しかし、2020年7月、政府とソフトウエア企業など約50社において、請求書の完全電子化の2023年までの導入を目指して、仕様統一についての協議が開始されたのです。 この取り組みが本格化すれば、多くの企業にとって請求書をやり取りする手間が大幅に削減され、業務効率化に大きな効果が生まれるでしょう。ここでは、経理が知っておきたいペーパーレス化で電子請求書に移行するメリットやデメリットについてお伝えします。

ペーパーレス化により電子請求書に移行するメリットとデメリット

最終更新日:2020年11月10日

目次

請求書が電子化されるようになった流れ

電子請求書とは、文字通り請求書を電子化したものです。インターネットの普及により、紙を使った文書の電子化が進みました。そのなかでも電子請求書は、印刷だけでなく請求先へ郵送するコストやそれにかかる手間の削減など、さまざまなメリットを企業にもたらします。

紙文書の電子化が進む大きなきっかけとして挙げられるのは、電子化に関する法整備でしょう。最初は1998年7月に施行された電子帳簿保存法です。この法律は、企業で扱われる下記のような紙文書の全部もしくは一部の電子データによる保存を認めるものとなっています。

国税関係帳簿 仕訳帳、現金出納帳、総勘定元帳、売掛(買掛)金元帳、売上帳など
国税関係書類 貸借対照表、損益計算書、棚卸表、その他決算書類
証憑類 請求書、注文書、領収書、見積書、納品書、契約書など

施行時点では、これらの紙文書について、サーバーやDVD、CDといった電磁的記録による保存、COM(電子計算機出力マイクロフィルム)による保存が認められました。そして2017年からは、スマートフォンで読み取った証憑書類の保存も一部が認められるようになったのです。

紙文書の電子化を進めたもう一つの法律が、2005年4月に施行されたe-文書法です。これは「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の二つから成ります。

e-文書法は、電子帳簿保存法で認められた帳簿、書類、証憑以外の紙で保存が義務付けられていた文書全般の電子化を認めるものです。そしてe-文書法施行に伴い、電子帳簿保存法ではスキャナーによる電子保存も一部が認められるようになりました。

ただし、この時点ではスキャナーによる電子保存にいくつかの制限があったため、一気に電子化は進まなかったのです。本格的に導入を行う企業が増えだしたのは、2015年と2016年の税制改正によって規制が緩和されてからといえます。

また2020年10月より、さらに規制が緩和されました。

・電子データの利用明細が領収書の代わりになる
・キャッシュレス決済は紙の領収書が不要

2点の改正により、請求書を含む紙文書の電子化は急速に進んでいくでしょう。

日本でも本格的に始まる請求書の電子化

紙文書の電子化を進める法律の施行、そして何回かの改正が行われたものの、従来の紙文化から抜けきれない部分もあり、現時点の普及率はそれほど高くありません。しかし2020年に入り、その流れが大きく動こうとしています。前項で挙げた10月からのさらなる規制緩和もありますが、それ以上に大きいのが新型コロナウイルスの感染拡大です。

新型コロナウイルス感染拡大により広がるペーパーレス化への動き

日本では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年4月7日に緊急事態宣言が発令されました。これにより多くの企業がテレワークを導入し始めたのです。

しかし、ほとんどの企業が十分な準備をできないままでテレワークを導入したため、押印や資料閲覧のためだけに出社しなければならないケースが続出しました。その解決策として、ペーパーレス化への迅速な移行が求められるようになったのです。

さらに「テレワークへ移行するためのコスト削減」「新型コロナウイルスの影響で業績不振に陥った企業のオフィス縮小」などの理由もあり、ペーパーレス化の流れが加速しました。その一環として、請求書の電子化も急速に進んでいるのです。

2023年導入を目指す請求書の完全電子化

海外、特に欧州ではすでに多くの国で請求書の電子化は始まっています。たとえばイタリアでは、2019年に企業を含めすべて義務化されました。これに対し、遅ればせながらもここにきて本格的にペーパーレス化が普及し始めた日本ですが、それを推し進める動きの一つがあります。

それは、インボイス制度(課税事業者として登録を受けた事業者しか控除を受けられなくなる)が始まる2023年までに導入を目指す請求書の完全電子化です。現在、政府とソフトウエア企業など約50社が協議を開始しています。

ここで一点注意すべきは、電子化文書と電子文書の違いです。紙文書の電子化には2種類あります。

PDFやスキャニングによって作成される電子化文書
ExcelやWordなどを使い、初めから電子データとして作成される電子文書

上述した請求書の完全電子化とは、基本的に後者の数字をデータとして扱える電子文書を指します。

※関連コラム:ペーパーレス化を進めるためのポイントと業務効率化ツール


電子請求書の導入により生まれるメリットとデメリット

では、実際に電子請求書を導入した場合に生まれるメリットとデメリットを見ていきましょう。

電子請求書導入により生まれるメリット

紙の請求書では、作成してから印刷・折り畳み・封筒詰め・宛名印刷・郵送とさまざまな手間とコストが発生します。しかし電子請求書の場合、発行には管理ソフトからデータを流用できますし、受け取りは電子データになるため会計システムにデータをすぐ取り込めます。送信もオンライン上なので手軽です。

押印のためだけに出社する手間の削減

紙の請求書の場合、経理はテレワークをしていても押印のためだけにわざわざ出社しなくてはなりません。しかし電子請求書の場合、たとえば株式会社インフォマートが提供する『BtoBプラットフォーム請求書』を使えば、押印や授受、社内での承認までシステム上で実現するため、押印や承認のためだけに出社する必要がなくなります。交通費の削減や業務効率化につながるでしょう。

検索、管理コストの削減

電子請求書は、自社内もしくはクラウドサーバーに保管するため書庫が不要になり、管理コストが大幅に削減できるとともに空いたスペースが有効活用できます。また、電子化された請求書は検索性が高いため、必要な情報をすぐに見つけ出せるでしょう。

セキュリティ対策にもつながる

電子請求書は、オンライン上のクラウドサーバーを通じて請求書のやりとりになるため、メールや郵送、FAXに比べて誤送信のリスクが軽減します。

電子請求書導入により生まれるデメリット

ペーパーレス化を行うためのコストがかかる

ペーパーレス化を実施するには、スキャナーの導入や書庫の処分、クラウドサーバーの契約といった新たなコストが発生します。

現時点では請求書の仕様が統一されていないため、受け取り側のフォーマットに合わせる必要がある

基本的には発行する側のフォーマットで問題ありませんが、もし受け取り側からフォーマットを指定された場合、それに合わせたフォーマットの用意が必要です。

2023年に間に合わせるためにも今からペーパーレス化を進めよう

2020年の時点ではまだペーパーレス化の普及が進んでいない業種も多くあります。また、電子請求書のメリットは大きいものの、これまでの慣習をなかなか変えられず、導入に二の足を踏んでしまう企業も少なくありません。

しかし、日本でも遅ればせながら請求書の完全電子化を目指す動きが活発になっています。2020年7月、国内10社が協力して設立した「電子インボイス推進協議会」もそのひとつです。

ここでは、2023年10月より導入されるインボイス制度(税務署長から認められた事業者が発行する「適格請求書」の作成・保存が必要になる制度)に向けて、電子インボイスの標準仕様を策定したり、実証実験に向けて取り組んでいたりします。

事業者それぞれで規模もニーズも異なるもの。そうしたどんな事業者でも利用できるような電子インボイス・システムを構築するため、現在、活動を進めているのです。

電子請求書の導入にはペーパーレス化が必須ですが、ペーパーレスにする紙文書の選択、不要な紙文書の廃棄など準備段階でそれなりの時間を要します。そのためにぎりぎりになってから始めても2023年の仕様統一に間に合わないかもしれません。

そうしたリスクを防ぐためにも今からしっかりと準備を始め、ペーパーレス化に取り組んでみてはいかがでしょう。

※本記事は更新日時点の情報に基づいています。法改正などにより情報が変更されている可能性があります。

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監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

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