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[2020年度改正]電子帳簿保存法の見直しで進む、経理部門のDX

2020/09/02
経理知識

電子帳簿保存法はこれまでも何度か改正を重ねてきた。2020年度の税制改正(2020年10月1日施行)では、ますますペーパーレス化が加速すると指摘する、袖山喜久造税理士(SKJ総合税理士事務所所長)。電子帳簿保存法のスペシャリストとして、改正のポイントとデジタルトランスフォーメーション(DX)を見据えた今後の展望を解説いただいた。

保存要件の大幅緩和が改正のポイント

1998(平成10)年の施行以来、電子帳簿保存法は時代に則した改正がなされてきた。2020年10月の改正では、電子取引を行った場合の電磁的記録の保存要件が緩和される。

袖山氏は、国税局調査部在籍時に電子帳簿保存法担当の情報技術専門官として納税者指導や事務運営等に携わってきた。電子帳簿保存法の第一人者として、「今回の改正で経理業務の効率化がはかれるだけでなく、コンプライアンスや内部統制の強化につながる」と指摘する。

「これまで、電子請求書等を電子データで保存する場合は、タイムスタンプの付与、または改ざん防止等の対策を講じた社内規程を整備した上で運用する必要がありました。

10月の改正では、送信者(発行)側のタイムスタンプが付与された電子データであれば、受信者(受取)側はそのまま保存できます。また、訂正・削除できない、あるいは履歴が残るといった、データ改変ができない仕組みのクラウドサービス等により、授受及び保存を行う場合も措置は不要です」

最初から発行側が作成した電子データを、データのまま受け取り、自動で取り込んで会計処理して保存できる仕組みであれば、入力や確認処理は不要となり、ミスや不正は発生しない。社内プロセスも透明性が高く、正しい処理が行われていると見なされ、税務調査の項目とされる不信な取引には該当しないケースが多くなります。

「国税庁は調査効率を向上させ、企業は内部統制を強化できる、このような電子データ化、ペーパーレス化が今後は推進されていきます」



インボイス制度や日本版eシールも見据えた「経理のDX」

働き方改革の一環として国が進めてきたテレワークが、思いがけない新型コロナウイルスの影響で普及しつつあり、帳票類の電子化に踏み切る企業が増えた。withコロナといわれるこれからの時代、企業戦略の潮流となっていくのがITなどのデジタル技術による抜本的な変革、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」だという袖山氏。

在宅勤務が強く推奨される中でも、紙の書類の処理や押印がネックとなり、出社せざるをえなかった経理部門もあった。また、テレワークを導入したものの不便が多く、緊急事態宣言後は元通り通勤するようになったという声も聞こえてくる。

「厳しい言い方ですが、付け焼き刃のようなメール添付や、紙の書類の承認リレーをずっと続けるのでしょうか。社内処理はハンコをなくし、取引先とのやりとりもデータによる自動処理を行うのが、これからの企業に求められる方向性ではないでしょうか」

2023年10月には適格請求書等保存方式、いわゆるインボイス制度が導入され、会計処理や証憑の保存は厳格化する。仕入税額控除の要件に、税務署長に申請して登録を受けた事業者が発行する、『適格請求書発行事業者登録番号』が記載された適格請求書(インボイス)の保存が求められる。もし登録番号が間違っていれば追徴課税の対象になってしまうため、会計処理の際は登録番号の確認も必要になるだろう。また、これまで義務付けられていなかった3万円未満の領収書や請求書の保存も義務付けられる。業務負担を軽減するには電子化は待ったなしの状況となるだろう。

また、テレワークの障壁となっていると指摘された「ハンコ文化」も見直しが進み、政府と経済団体は法改正も含めて押印の廃止やデジタル化を進めることを発表している。民間企業でも契約書や領収書への押印を電子署名に切り替える動きが出てきた。

「電子署名法は自然人の証明が規定されており、請求書などに必要な法人印に相当する電子的な証明手段が必要です。欧州連合(EU)ですでに制度化しているような、組織が発行するデータの信頼性を確保する、いわば『日本版eシール』が検討されています。2021年度中には制度化するのではと見られています」

こうした制度はこれからも整備され、電子化が推進されていくのは間違いない。特に大企業は内部統制上、電子保存のほうが管理しやすいという利点もある。

「透明性の高い会計処理ができる仕組みや、社内プロセスの確実性が明らかであれば、税務上調査で問題にされるようなことが圧倒的に少なくなります。本来、電子化とは自社のコンプライアンスを高めるのが目的であるべきです」

新型コロナウイルスの影響で大きく前進した書類の電子化を、電子帳簿保存法の改正が後押しする流れが見えてきた。電子取引は今後、加速度的に広まっていくだろう。

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本コラムの著者プロフィール

袖山喜久造

中央大学商学部会計学科卒業後、国税専門官として国税局採用。税務署勤務を経て、国税庁、国税局調査部で大規模法人の法人税調査等に従事。2009年より電子帳簿保存法担当情報技術専門官を務める。2012年に退職、SKJ総合税理士事務所を開業、所長就任。企業の税務コンサルティング、文書電子化コンサルティング等を行っている。2019年8月より、インフォマートの顧問を務める。

詳説 電子帳簿保存法 実務のポイント

袖山 喜久造 (監修)

SKJコンサルティング合同会社(編集)税務研究会出版局、3,300円(税込)

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