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企業ができる緊急時のテレワーク導入法~ICTツールと助成金・補助金一覧付き

2020/04/09
経営戦略

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、「緊急事態宣言」が発令された。対象区域となっている東京都をはじめ首都圏の知事らは、発令以前から平日の可能な限りの在宅勤務と週末の外出自粛を要請してきた。要請を受けて、急遽テレワークを強化する企業が増えている。

これまで制度としてあったものの、実態としては活用しきれていなかったという企業も少なくないだろう。従業員を守るため、準備が整わない状態で導入せざるを得ない企業が、少しでもスムーズにテレワークを実践するにはどうすれば良いのか。

「新型コロナウイルスの影響下でBCP対策として取り組む状況では、すべてを完璧に整えるのは難しい。まずはやってみること」と専門家は語る。


本来は企業の事業力を上げる柔軟な働き方。だが緊急時の場合の導入は?

テレワークの普及を推進し、東京都の事業者向けに導入支援を行っている東京テレワーク推進センター。事業責任者の湯田健一郎氏は「新型コロナウイルス対策を受けたお問い合わせが急増している」と明かす。

「大企業の場合、テレワーク制度はあるものの、従来まで対象や利用頻度など使い方を制限していたケースも多くみられました。社内全体でテレワークする想定にはなかったものを、現在、急拡張せざるをえないという状況になっています」

これまで「本当にやる必要があるのか」とあまり積極的ではなかった経営層も方向転換し、一気に導入が進んだ企業が増えている。テレワークが持つ事業継続性の確保(BCP)への効果が、強く後押しする形になったといえるだろう。ただ、BCP対策はテレワークの一面に過ぎない。

本来は、場所や時間にとらわれない柔軟性のある働き方で、生産性を向上させたり、優秀な人材を確保したりするのがテレワークの主な目的だ。そのため、勤務場所も自宅に限らない。移動中の電車内やカフェなどを利用するモバイル勤務や、就業先以外のコワーキングスペースやレンタルオフィスなどを利用するサテライトオフィス勤務などもテレワークに含まれる。業務内容によって必要な環境や利用するICT(情報通信技術)も変わるため、通常であれば計画的な導入が望ましい。湯田氏によれば、以下の4つのステップを踏まえて進めていくのがスムーズだという。

テレワーク導入の4つのステップ

Step1.業務整理

「まずは今やっている業務の棚卸をお勧めしています。たとえば経理業務で言うと、テレワークはなんとなくセキュリティポリシーでダメだとか、紙の書類だから難しいと思いがちです。業務内容を整理することで、どの部分ならテレワークが可能か可視化されます(整理方法は後述)」

Step2.制度設計

「恒常的にテレワークを活用するにあたっては、働き方の環境と就業規則などをあわせて整備することが重要です。働き方改革関連法も本格施行され、適正な労働時間の管理や健康への配慮も必要になります。勤怠管理や交通費をどうすればといった問題も考えねばなりません。法律を遵守する必要があるので、社労士など専門家のアドバイスが必要です」

Step3.ICTツールの選定・活用

「就業規則の整備と両輪でICTツールの整備も肝要です。基幹システムには会社からしかアクセスできないということであれば、リモートデスクトップという仕組みを活用し、自宅から会社のパソコンを遠隔操作もできます。チャットやWebツールを使えばコミュニケーションがとれますし、請求書や領収書なども電子化してクラウドサービスを活用すれば、紛失のリスクなどもなくむしろ効率化します。業務を整理して可視化することで、どんなICTツールを活用すればテレワークが実現するかが見えてきます」

Step4.従業員教育

「環境や制度が整っていても、一度もテレワーク勤務したことがない状態で急に始めてもなかなかうまくいかないものです。やはり、テレワークを活用した場合の働き方、セキュリティ面の考え方などを従業員があらかじめ知って理解しておくことが円滑なテレワークには欠かせません」

ただ、今回のような新型コロナウイルスの影響ですぐにでもテレワークを導入しなければならないといった差し迫った状況の場合、この4つのステップを踏んでいる時間はない。

その場合は、3.ICTツールの選定・活用にまず取り組むことになる。

とはいえ、特にこれまでテレワーク環境が整っていなかった中小企業では、苦慮している点も多いだろう。多くの事例を見てきた湯田氏は、中小企業のテレワーク導入で大きなハードルとなるのが、まず「知らない」ことだという。


中小企業が導入する際の三大課題を解消するには


<図:中小企業がテレワーク導入に抱える3つの課題>

中小企業がテレワーク導入に抱える3つの課題「知らない」「導入手順がわからない」「資金がない」 

知らない

「テレワーク=在宅勤務ではないとまず知っていただきたいです。繰り返しですが本来は柔軟性のある働き方のひとつの手段です。たとえ在宅勤務であっても終日在宅する必要はなく、部分的な在宅という選択肢もあります。その認識をもった上で知っていただきたいのは、在宅ではできないと思っていた仕事も、ICTツールで解決できる場合が多くあることです。

たとえば、テレワークをした際のコミュニケーション不足をよく課題として挙げられることがありますが、チャットツールやWeb会議を活用して企業によってさまざまな工夫をしています。中には、チャットをいれてテレワークをするほうが、密なコミュニケーションがとれるというケースもあるようです。離れているからといってコミュニケーションがおろそかになるわけではありません」

テレワークをサポートするICTツールは、数多く登場している。昨今のBCP対策での導入ならまずは、リモートデスクトップやクラウド型アプリなどの業務接続用と、チャットツールなどのコミュニケーション用のツールを用意すれば、実態的なテレワークが可能だ。その後、勤怠管理ツールなどを必要に応じて取り入れ、制度を整えていけば良い。

テレワークを行うために必要な基本ツール

業務接続ツール

離れた場所から社内の業務システムへのアクセスや共有ファイルの閲覧・更新などを行う

・リモートデスクトップ方式
会社のオフィス内にあるPCを、インターネットを介して自宅等にあるPCから遠隔操作できる。

・仮想デスクトップ方式
会社のサーバ上で提供される「仮想デスクトップ基盤(VDI)」に、テレワーク端末からログインして利用する。

・クラウド型アプリ方式
クラウドサービス事業者の提供するサーバ及びソフトウェアをインターネット経由で利用する方式

コミュニケーションツール

会社から離れた場所でも、コミュニケーションの質・量を低下させず、情報共有を円滑にする

・チャットツール
「チャット」(会話のような短い文でのやり取り)によるコミュニケーションを行う。Web会議ツールとの併用も可能。

・Web会議ツール
対面コミュニケーションに近い状態での会議や打合せを実施できる。移動にかかる交通費と時間の削減にもつながる。チャットツールとの併用も可能。

勤怠・業務管理ツール

テレワークでも社員の勤怠や労働時間を適切に把握しなければならない。あわせて、業務進捗等の把握も必要となる。

・勤怠管理ツール
社員の働いた時間や場所を記録管理するツール。稼働管理のほか給与計算ソフトと連携できるサービスもある。

・在席管理ツール
テレワーク勤務の社員が、在席中か否か等をリアルタイムで表示できる。勤怠管理ツールとの併用可能なツールもある。

・業務管理ツール
業務スケジュールやカレンダーを共有できる。 研究・開発・企画等のプロジェクト単位で動いている業務では、プロジェクトやタスク、工数の管理をサポートする機能を持つツールもある。

・ペーパーレス化ツール
ペーパーレス化のため、紙文書を電子文書化するツール。クラウド型のツールで多くの文書やデータを電子データ化しておくと業務効率化が図れる。
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テレワークそのものや、どういったICTツールがあるのかを知るには、すでにテレワークを導入している企業の事例が参考になるだろう。東京テレワーク推進センターのサイトでも実践事例を紹介している。自社と同業態や同規模程度の企業がどんな工夫をしているのか、ぜひ確認してほしい。

導入手順がわからない

「テレワークを知ると、次に『どうやって導入すればいいのかわからない』という課題も生じます。これは、ぜひ専門家のアドバイスを受けてください。たとえば、東京テレワーク推進センターでは、コンシェルジュや社会保険労務士が常駐しており、テレワーク導入に向けたICTツールの選択や就業規則の整備などの相談が行えます。

また、東京都では、都内の中堅・中小企業等を対象に、無料で最大5回、専門のコンサルタントが会社に訪問(※)し、企業ごとのテレワーク導入支援を行う『ワークスタイル変革コンサルティング事業』も行っています。

また、東京以外の地域では、総務省が『テレワークマネージャー派遣事業』という類似の事業を行っています」

※:希望によりWeb会議での対応も可

資金がない

また、中小企業にとって導入のネックとなるのがもうひとつ、資金だろう。テレワーク導入に必要な機器の購入費やリース費用、ソフトウェア等の経費は助成金が活用できる場合がある。申請には条件があるため、詳細はそれぞれ確認してほしい。
特に現在は、新型コロナウイルス感染症対策として急遽打ち出された助成金もある。対象に該当するならぜひ活用すべきだろう。

 

テレワーク導入に関する助成金・補助金・機器整備支援

※2020年4月9日現在

東京都

はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助事業)
https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/joseikin/telework.html
東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティング(ワークスタイル変革コンサルティング等)を受けた企業等に対して、テレワークをトライアルするための環境構築経費及び制度整備費を補助(最大110万円、補助率10/10)

テレワーク活用・働く女性応援助成金(テレワーク活用推進コース)
https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/joseikin/joseikatsuyaku.html
在宅勤務、モバイル勤務などを可能とする情報通信機器等の導入及び民間サテライトオフィスの利用に対して、それぞれ経費の1/2、限度額250万円の助成

事業継続緊急対策(テレワーク)助成金
https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/joseikin/kinkyutaisaku.html
新型コロナウイルス対策の一環として打ち出した助成金。東京都内の中堅・中小企業を対象に、テレワーク導入などで必要となる機器やソフトウエアの費用を250万円まで全額助成。

東京都テレワーク導入モデル体験事業
https://tokyo-telework.jp/lp/try2020/index.html
新たにテレワークの導入を検討している都内中堅・中小企業等に対して、簡易的にテレワークを体験できるよう、テレワークツールセットをインストールした端末及び機材を無償貸与。支援スタッフ訪問による貸与機器の設定、テレワークツールの使い方の案内も実施。

経済産業省

IT導入補助金2020
https://www.it-hojo.jp/2020emergency/
令和元年度補正サービス等生産性向上IT導入支援事業。中小企業・小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助。業務効率化・売上アップをサポートする。

厚生労働省

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/telework_10026.html
時間外労働の制限その他の労働時間等の設定の改善及び仕事と生活の調和の推進のため、在宅又はサテライトオフィスにおいて就業するテレワークに取り組む中小企業事業主に対して、その実施に要した費用の一部を助成。

働き方改革推進支援助成金(新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/syokubaisikitelework.html
新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規で導入する中小企業事業主に対し、令和2年2月17日~5月31日の期間において、テレワーク用通信機器の導入・運用、就業規則・労使協定等の作成・変更、労務管理担当者に対する研修等の費用を助成。(最大100万円、補助率1/2)


知っておきたい、業務の棚卸をする際のポイント

緊急事態に急遽テレワークをはじめた企業の場合、導入後にでも順次、「本来の導入ステップStep1.業務整理はできるだけ行う方が良い」と湯田氏はいう。たとえば経理業務を一覧にして洗い出す場合、以下の4つのチェック項目を追加すると、整理をつけやすい。

1.どのシステムを使っているか

「どのシステムを使っているかを明らかにすれば、会社でなければできないと思っていた業務も意外とリモートデスクトップでクリアできる、とわかる場合があります」

2.誰とやっているか

「上司にチェック受ける必要がある、相談したいという際、チャットやWeb会議、画面共有ができるツールが利用できないか、見直してみましょう」

3.どこでやっているか

「いわゆるセキュリティポリシーの問題などで、会社じゃないとなんとなく危ない、というイメージが強いかもしれません。では、自宅でダメな理由は何か、サテライトオフィスだったらどこまで許せるか、自社内の他拠点ではどうか整理してみましょう。この業務なら自宅でも大丈夫、これはサテライトオフィスでも大丈夫という〇×で分けをしていくと、決してすべての業務が無理ではないとおわかりいただけると思います」

4.どの紙を使っているか

「請求書や見積書、領収書といった書類は電子データ化しクラウドサービスを使えば、紙の書類のように紛失や入力ミスといったリスクもなく、むしろ安全性が担保されます。それが難しい場合もデジタルFAXを利用する、郵送で届いた書類も一旦スキャンしてPDF化するなどで『紙がないとできない』は解決する場合があります」

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テレワークを成功させている経営者に共通の特徴

業務にテレワークを取り入れる際に必要なのは、テレワーク導入そのものを目的にしない観点だという。テレワークはどう業務を強化するか、もっと効率化するにはどうするかという手段のひとつだ。

「トップが、テレワークは福利厚生の手段ではなく事業力を上げるための戦術だと理解し、従業員にうまく伝えられている企業は、生産性や業務効率をあげることに成功しています。子育てや介護といった事情のある人向けに限定するよりも、たくさんの人が使える制度設計が望ましいですね」

もちろん仕事のすべてをテレワークにという話ではない。製造業や接客業の現場など、テレワークに向かない業務はある。求められるのは、どの業務に従事する場合も不公平感が生じないよう柔軟性をもたせた、働き手がそこで働きたいと思えるような環境作りだ。

「実際、病気やケガなど何かあった場合も離職することなく、安心して働き続けられる仕組みがある会社は、求人応募率・採用率や定着率がまったく違います。テレワーク制度を整え、企業力を高めてほしいです。まずは一歩踏み出してみましょう」

※本記事は更新日時点の情報に基づいています。法改正などにより情報が変更されている可能性があります。

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取材

東京テレワーク推進センター 事業責任者 湯田 健一郎 氏

東京テレワーク推進センター 事業責任者
株式会社パソナ リンクワークスタイル推進統括
湯田 健一郎 氏

組織戦略・BPO・CRMのコンサルティングに携わり、特にICTを活用した事業プロセス最適化の視点から、幅広い業界・企業を支援。現在は株式会社パソナにてテレワーク推進の統括を行うとともに、自身もパラレルワークを実践。働き方改革推進の事業運営を広く手掛け、厚生労働省の柔軟な働き方に関する検討会委員としてテレワークガイドラインの改訂にも参画するなど、近年の政府テレワーク推進施策に深く従事している。総務省テレワークマネージャー。東京テレワーク推進センター 事業責任者も兼務。

https://tokyo-telework.jp/

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