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「電子帳簿保存法」と「e-文書法」それぞれの役割と違いについて解説

デジタル技術の浸透やペーパーレス化への流れを受け、これまで書面で行われてきた各種書類の管理方法にも変革が見られます。 この分野で企業に関連性の高い法律は、「電子帳簿保存法」と「e-文書法」の2つ。いずれも法的文書の電子化についての規定を示しているものの、2つにはどのような違いがあるのでしょう。ここでは「電子帳簿保存法」と「e-文書法」の役割や関係性、内容の違いについて解説します。

「電子帳簿保存法」と「e-文書法」それぞれの役割と違いについて解説

最終更新日:2021年12月8日

目次

「e-文書法」とは?

はじめに e-文書法についての基本的な知識と、 e-文書法における基本要件を解説します。

「e-文書法」の概要

「e-文書法」とは企業や個人事業主などの事業者に対して義務づけられていた、紙ベースによる書類保存を電子データにて保存できるようにした法律です。2005年4月1日に施行されました。

具体的には、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」と「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の2法の総称です。

これまで法人税法や会社法、商法や証券取引法など約250の法律にて、紙の原本による書類保存・保管が義務づけられていました。しかしe-文書法の施行によって電磁的記録(電子化した文書ファイル)で保存可能となったのです。e-文書法ではさらに上記の変更に伴う、行政庁の承認といった手続きの規定を定めています。

「e-文書法」の基本となる4つの要件

各府省の府省令によってe-文書法の要件は変わります。ただし前提として経済産業省が4つの要件を定めているのです。

1.見読性:電子データが明瞭な状態である
電子データとして作成された書類やスキャナでの読み取りデータが「パソコンやディスプレイでクリアに見られる状態かどうか」が必要となります。「見読可能な状態」、つまりその文書が間違いなく目的を果たせるように、誰が見ても判読できる程度の明瞭さが必要になるのです。

くわえて情報の内容を必要に応じてすぐに印刷できる点も、求められます。

2.完全性:滅失や毀損の抑止・改変、消去、改ざんの防止
電子記録されたデータの経年劣化による消失や毀損を防止できるよう、適切な管理が必要です。また電子署名やタイムスタンプを使用した、改ざんの防止も求められます。データを良好かつ適切な状態で維持する必要があるのです。

3.機密性:アクセス制限および不正アクセスの抑止
アクセス制限および不正アクセスへの対策を行い、情報漏洩やデータ盗難防止に努めなくてはなりません。限られた人間だけが情報に接触できるよう管理すると、データの安全性が高まります。

4.検索性:体系的な検索性の確保
電子化された文書を有効に活用、確認するため、条件による検索がかんたんにできるシステムの体制づくりが求められます。検索を容易に行えるようなメタデータを付与し、必要に応じて適切にデータを呼び出せるようにするのです。

「電子帳簿保存法」とは?

「電子帳簿保存法」の基礎情報と、「e-文書法」との関係性について解説します。

「電子帳簿保存法」の概要

「電子帳簿保存法」は税務関係の書類について、電子保存を認める法律です。正式名称は「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」で通称、「電帳法」と呼ばれています。

電子帳簿保存法の施行は、e-文書法より前の1998年。以降、改正を重ねながら徐々に要件が緩和されており、対象となる書類の拡大や、電子署名の不要化などペーパーレス化推進に貢献しているのです。

「e-文書法」との関係性

e-文書法に先駆けて公布された電子帳簿保存法は施行当初、システムを使って作成した電子データのみが対象となっていました。

しかし2005年の「e-文書法」施行を受けて「電子帳簿保存法」の一部改正により、決算関係書類を除く請求書や領収書、契約書や納品書、見積書などがスキャンデータでの保存を認められたのです。この改正によって、事務処理にかかる負担が大幅に軽減され、保管スペースの縮小にも貢献しました。

いずれの法律も、社会的なデジタル技術の浸透に即したものであり、業務効率化・生産性向上、働き方の多様化への対応を目的としています。

※電子帳簿保存法の詳細は以下をご覧ください。
電子帳簿保存法とは?対象書類・保存方法から導入時の疑問を解説
電帳法スペシャリストが回答~電子帳簿保存法 インボイス制度 75の疑問

「e-文書法」と「電子帳簿保存法」の違い

「e-文書法」と「電子帳簿保存法」の具体的な違いを解説します。

対象となる文書範囲

大きな違いは、対象となる文書の範囲です。

e-文書法は法律を横断するルールであり、カバー範囲が広い法律となります。会計帳簿や請求書などの証憑書類のほか、株主総会議事録や会社の定款など、ほぼすべての書類が電子データで保存可能です。

たとえば病院でのカルテ・処方箋といった医療情報や建築士事務所の業務に関する設計図など、業界や業種にかかわらず法律にて保存が義務づけられた書類全般が対象となります。つまりe-文書法が定める範囲というより、「業界や業種ごとに関連する法律が定めている保存の必要な書類」が対象範囲になるのです。

ただしいずれの業種でも、
 ・緊急性の高い
・きわめて現物性が高い
・条約による制限がある

ものは除かれます。たとえば船舶に備える手引書や免許証・許可証類などは電子データで保管できません。

一方、電子帳簿保存法は、国税庁が管轄する「国税に関する帳簿書類」のみが対象です。国税関連以外の書類は電子帳簿保存法の範囲でありません。

e-文書法がカバーする書類の範囲には、約250の法律がかかわっています。電子帳簿保存法は、その約250の法律のうちのひとつで、国税関係書類に特化して詳細な規定が定められているのです。

承認の有無

もう一つの大きな違いは承認の必要性です。

電子帳簿保存法に従って、国税関係書類を電子化する際、管轄する税務署長に申請して承認を受ける必要があります。しかし2021年、電子帳簿保存法は改正され、税務署長の事前承認制度が廃止されました。これに対してe-文書法では承認の必要なく、該当する書類を電子化できるのです。

要件の違い

e-文書法の要件には、「見読性」「完全性」「機密性」「検索性」の4つがあります。

電子帳簿保存法の要件は「真実性の確保」「可視性の確保」の2つであるものの、文書の種類によって細かく規定されているのです。そのため電子帳簿保存法では対象の文書に応じて、都度要件を確認する必要があります。

要件の数や種類は異なるもののいずれの法律に従う場合でも、書類が公正なものとして認められるための要点は同じです。
 ・内容が明瞭
・いつでも検索・閲覧可能である
・改ざんや破損・消滅の防止対策が取られている

上記は電子化された書類でも守られなければなりません。単に紙の書類をデータに置き換えるだけではないという点に、留意しておきましょう。

「e-文書法」は文書の電子化に幅広くかかわる法律

「e-文書法」と「電子帳簿保存法」はいずれもこれまで紙ベースで保管していた書類を、電子化可能とするための法律です。大きな違いは、「e-文書法はより対象範囲が広い」「電子帳簿保存法は国税関係書類のみを対象」としている点でしょう。

ただし要件があるため、ルールにのっとった方法での電子化が必要です。保管コストの削減や業務効率化を進めていくためにも、e-文書法に即した文書保存を実施しましょう。

監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

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