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電子帳簿保存法とは?対象書類と保存要件や期間をわかりやすく解説

電子帳簿保存法は、国税関係の帳簿や書類を電子データとして保存する際の要件などを定めた法律です。これまで紙で保管していた書類を電子データ保管に切り替えることで、保管場所を確保する必要がなくなります。また、ファイリングの手間や人的ミスの発生も抑えられるでしょう。 そこで今回は、電子帳簿保存法の対象となる書類の一覧や保存形式ごとの最新の要件、書類の保存期間などについて解説します。業務のデジタル化や効率化を検討している事業者の方は、ぜひ参考にしてください。

電子帳簿保存法とは?対象書類と保存要件や期間をわかりやすく解説

最終更新日:2023年8月30日

目次

電子帳簿保存法とは国税関連書類のデータ保存を容認するための法律

電子帳簿保存法は、1998年に施行された法律で、正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。
 
電子帳簿保存法ができるまで、国税関係の帳簿や書類の原本を保存することを法律で定められていました。しかし、IT技術の進歩による業務のデジタル化が進んでいく中で、税法の特例として電子データでの保存を容認する電子帳簿保存法が制定されたのです。
 
電子帳簿保存法は、制定後も繰り返し時代に応じた改正が行われています。直近では、2022年に改正が行われました。
 
※電子帳簿保存法の改正内容については「電子帳簿保存法の改正内容は?2024年までに対応すべきことを解説」をご覧ください。

2005年から2024年までの電子帳簿保存法改正の流れ

2005年の電子帳簿保存法改正では、これまで認められていなかった「スキャナ保存」が認められるようになりました。スキャナ保存とは、紙で受け取った領収書や請求書などをスキャナなどで読み取って電子データに変換、保存することです。スキャナ保存は、その後、2015年、2016年、2022年にもそれぞれ要件の緩和が行われ、利便性の向上が図られています。
 
また、従来の電子帳簿保存には、タイムスタンプと呼ばれる文書の作成日時などを証明する文字列の付与が義務付けられていましたが、2019年および2022年の改正によって、タイムスタンプ要件の緩和も行われています。タイムスタンプの付与に対応するためには、そのためのシステム導入などが必須となるため、小規模事業者にとってはハードルの高い要件でした。これが緩和されたことで、より多くの事業者が電子データで書類を保存しやすくなりました。
 
2022年の改正では、そのほかにも、電子帳簿保存を行う場合の税務署長への事前承認制度の廃止や、検索要件の緩和、電子的な取引における書類の電子保存の義務化などが行われています。特に電子取引に関しては「電子データでの保存を認める」という形ではなく「電子データで保存しなければならない」という義務になっている点に注意が必要です。

電子帳簿保存法の対象となる書類

電子帳簿保存法の対象となる書類は、国税関係帳簿と国税関係書類の2種類に大別することができます。それぞれについて、詳しく説明します。

国税関係帳簿

国税関係帳簿とは、決算資料の根拠となる帳簿類のことです。
具体的には、総勘定元帳や仕訳帳のほか、売掛帳のような補助簿などです。これらの帳簿は、電子帳簿保存法の「電子帳簿等保存」という区分に該当します。電子帳簿等保存の詳細については、後述します。

国税関係書類

国税関係書類とは、仕訳の元となる書類のことです。また、国税関係書類はさらに、決算関係書類、取引関係書類の2つに分かれています。それぞれにあてはまる書類は下記のとおりです。
 
■国税関係書類の一例
・決算関係書類:貸借対照表、損益計算書、棚卸表
・取引関係書類:見積書、請求書、注文書、領収書
 
決算関係書類は、国税関係帳簿と同様に、電子帳簿保存法の対象となります。決算に関連して作成する書類や帳簿については、電子帳簿保存法の対象だと考えてよいでしょう。
 
一方、取引関係書類は、一般的な商取引の中でやりとりすることになる書類全般です。先方から受け取った書類だけでなく、自社が発行した書類の控えについても、電子帳簿保存法の対象です。取引関係書類の保存形式は、各書類で定められており、スキャナ保存もしくは電子取引のいずれかで保存します。

電子帳簿保存法の対象にならない書類

電子帳簿保存法の対象となる書類以外のすべての書類は、電子帳簿保存法の対象になりません。具体的には、「国税関係以外の書類や帳簿」と「手書きで作成された国税関係帳簿と決算関係書類」が該当します。

国税関係以外の書類や帳簿

電子帳簿保存法の対象となるのは、あくまでも国税関係の書類や帳簿のみです。それ以外の書類や帳簿については、電子帳簿保存法の対象外です。事業を行う上では、自社製品の取扱説明書や事務所移転のお知らせ、従業員と取り交わす雇用契約書など、数多くの書類を作成します。しかし、これらの書類は国税関係書類でも国税関係帳簿でもないことから、電子帳簿保存法の対象にはなりません。

手書きで作成された国税関係帳簿と決算関係書類

国税関係帳簿と決算関係書類は、電子帳簿保存法の対象になります。これは、電子的に作成したデータをそのまま電子データとして保存できるというものです。そのため、手書きで作成された国税関係帳簿や決算関係書類は対象外です。
一方、請求書や領収書などの取引関係書類に関しては、手書きであってもスキャナ保存の要件を満たせば電子的に保存できます。

電子帳簿保存法における対象書類の保存要件

電子帳簿保存法では、電子保存の要件を「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つの区分別に設定しています。区分ごとの保存要件は下記のとおりです。

電子帳簿等保存

電子帳簿等保存の対象となるのは、会計システムなどで作成した帳簿類および決算関係書類です。これらの書類のうち、要件を満たすものについては、電子的に保存できます。国税庁により定められた保存要件には「最低限の要件」と「優良な電子帳簿の要件」の2つがあります。それぞれの内容は下記のとおりです。
 
<最低限の要件>
・システム関係書類などを備え付ける
・保存場所にパソコンやプリンターなど、必要に応じてすみやかにデータを閲覧、出力できる機器類を備え付ける
・税務署員の求めに応じてデータをダウンロードできるようにしておく
 
<優良な電子帳簿の要件>
・記録の訂正や削除の履歴が残るシステムを利用する
・通常の業務処理期間後に入力した場合に履歴が残るシステムを利用する
・電子化した帳簿と関連するほかの帳簿の関連性を確認できる
・システム関係書類などを備え付ける
・保存場所にパソコンやプリンターなど、必要に応じてすみやかにデータを閲覧、出力できる機器類を備え付ける
・取引年月日、取引金額、取引先を絞り込んで検索ができる
・税務署員の求めに応じてデータをダウンロードできるようにしておく、または「日付または金額の範囲指定検索ができる」「2つ以上の任意の記録項目を組み合わせて検索できる」の2つの検索要件を満たす
 
なお、2021年まで、電子帳簿等保存は事前に税務署長の承認を得る必要がありましたが、2022年1月以降は不要になりました。

スキャナ保存

スキャナ保存は、紙で受け取った書類をスキャンして保存する場合の区分です。取引先から受け取った紙の領収書や請求書といった取引関係書類を電子データとして保存したい場合に該当します。
 
スキャナ保存には、スキャナ装置のスペックや入力期間の制限といった複数の要件が設けられています。ただし、2022年の電子帳簿保存法の改正により、適正事務処理要件が廃止され、タイムスタンプ要件と検索要件が緩和されるなど、大幅な要件の緩和が行われました。また、税務署長の事前承認制度も廃止されています。
タイムスタンプ要件と検索要件の具体的な緩和内容は下記のとおりです。
 
<タイムスタンプ要件と検索要件の具体的な緩和内容>
・タイムスタンプの付与期間が最長2ヵ月とおおむね7営業日に延長
・訂正や削除時に記録が残るクラウドシステムなどを利用すればタイムスタンプの付与不要
・受領者などによる国税関係書類への自署不要
・税務職員の求めに応じてダウンロードできるようにしてある場合、検索要件一部緩和
 
スキャナ保存の要件は複雑なため、スキャナ保存に対応したシステムを利用するのが一般的です。このようなシステムを活用すれば、スキャナ保存の要件を満たす形での電子保存が可能です。

電子取引

電子取引とは、電子データで受け取った書類に関する保存区分です。
電子メールに添付されたPDFの請求書や、ECサイトのマイページからダウンロードした領収書などが該当します。2022年1月の改正以降、電子取引を行った場合は、原則として書類を電子的に保管する必要があります。2023年12月31日までの猶予期間はあるものの、原則的には紙に印刷して保管することは認められません。
 
電子的に受け取ったデータは、可視性の要件と真実性の要件を満たす形で保存する必要があります。
真実性の要件、可視性の要件はそれぞれ下記のとおりです。なお、可視性の要件は下記のすべてを満たす必要がありますが、真実性の要件は下記の4つの要件のうち1つをクリアしていれば問題ありません。
 
<真実性の要件>
・タイムスタンプを付与した後でデータのやりとりをする
・データを受け取った後で速やかにタイムスタンプを付与する
・訂正や削除をしたときに履歴が残る、または訂正や削除ができないシステムを利用する
・訂正・削除の防止に関する事務処理規定を定めて運用を行う
 
<可視性の要件>
・電子データを保存するために必要なシステムに操作マニュアルを備え付けて、データ出力がいつでもできる状態にしておく
・取引年月日、取引金額、取引先別で検索できるようにする

電子帳簿保存法の対象書類の保存期間は?

電子帳簿保存法の対象書類の保存期間は、書類の種類などによって異なりますが、おおよそ7年間です。ただし、詳細は事業者の種類や状況に応じて異なります。
ここでは、電子帳簿保存法の対象書類の保存期間について、法人の場合と個人事業主の場合で、それぞれ説明します。

法人の場合

一般的に義務付けられている帳簿や書類の保存期間は7年間です。ただし、欠損金が生じた事業年度については10年間の保存が必要です。

個人事業主の場合

青色申告の個人事業主は、帳簿と決算関係書類、現金預金取引などの関係書類は原則7年、その他の書類は5年間の保存が必要です。その他の書類に該当するのは、請求書や見積書、納品書などです。
一方、白色申告の個人事業主は法定帳簿について7年間、それ以外の帳簿と書類は5年間の保存義務があります。

 

電子帳簿保存法に必要なシステムを選ぶ際のポイント

電子帳簿保存法に必要なシステムを選ぶ際のポイント

電子帳簿保存法に対応するためにシステムを導入する際は、下記の2つのポイントをチェックしましょう。その上で、自社の業務に合った操作性の良いシステムを選ぶのがおすすめです。

JIIMA認証を取得している

電子帳簿保存法の対応には、JIIMA認証を取得しているシステムを選びましょう。

JIIMA認証とは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会による認証制度です。具体的には、電子帳簿保存法第10条の法的要件を満たしたシステムに対する認証で、認証を受けた製品は、JIIMA認証のロゴが表示されます。

この認証を取得しているシステムは、電子帳簿保存法に対応しているシステムであるということになります。そのため、細かな要件を確認する必要がなく、安心して利用することができるのです。
 
株式会社インフォマートが提供している「BtoBプラットフォーム 請求書」も、JIIMA認証を取得しているサービスのひとつです。

検索要件が設定できる

電子帳簿保存法に伴ってシステムを導入する際には、検索要件が設定できるシステムを選ぶことも大切です。

電子帳簿保存法の検索要件では、取引年月日、取引金額、取引先の3つの条件で検索ができる必要があるため、これらを満たすかどうかも重要なポイントとなります。
 

電子帳簿保存法に伴う電子データ保存のメリット

電子帳簿保存法にもとづいて、書類や帳簿を電子データで保存することは、事業者にとっても多くのメリットがあります。ここでは、代表的な3つのメリットについて説明します。

子帳簿保存法に伴う電子データ保存のメリット

ペーパーレス化の促進

これまで紙で保存していた帳簿や書類を電子データとして保存するようになれば、ペーパーレス化の促進になります。

業務を紙ベースから電子に移行していくことは、テレワークの推進やSDGsにもつながっていくでしょう。また、紙を管理するための場所や手間も不要になります。

検索性の向上

検索性が向上することは、電子データ保存のメリットのひとつです。

例えば「◯月◯日に取引先Aに出した見積書を確認したい」というとき、電子データでの保存なら、すぐに検索をして該当のデータを呼び出すことができます。一方、紙で保存している場合は、該当の取引先のファイルなどの中から、日付を頼りに目視で探さなければいけません。
 
そもそも電子帳簿保存法においては、原則的に、保存した電子データを「年月日」「金額」「取引先」の3項目で検索できるようにしておかなければならないと定められています。さらに、データの作り方によって、担当者名や現場名、品番など、より細かい項目で検索できるようにしておくことも十分可能です。さまざまな条件で、簡単かつ素早く必要なデータを呼び出せるため、業務効率化につながります。

リスクとコストの削減

データ管理に伴うリスクとコストを減らせる点も、電子データ保存のメリットです。

紙の書類は、紛失や破損、汚損といったリスクを伴います。電子帳簿保存法に対応したシステムを活用することで、こうしたリスクを軽減できるでしょう。ただし、自社のパソコン内に保存している場合は、バックアップなどの対策を取る必要があります。
 
また、紙の書類の保管には、保管スペースの確保や管理コストなどが発生します。データを電子的に保存することで、こうした問題も解消できます。

 
 

電子帳簿保存法に対応したサービスの導入を検討しよう

電子帳簿保存法に対応したサービスの導入を検討しよう

IT技術の発展に伴い、業務のデジタル化やペーパーレス化の流れは今後も加速していくと考えられます。電子帳簿保存法も、時代に合わせてより柔軟な運用ができるように改正が重ねられています。業務効率化のために、最新の電子帳簿保存法に対応したサービスの導入を検討しましょう。
 
株式会社インフォマートでは、電子帳簿保存法への対応に役立つさまざまなサービスを提供しています。「BtoBプラットフォーム 請求書」は、インボイス制度・電子帳簿保存法に完全対応しています。発行した請求書はもちろん、受け取った請求書や支払データも一元管理することができる電子請求書システムで、デジタルデータで保存ができます。このシステムは、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会によるJIIMA認証を取得しています。また「STORAGE by invox」は、紙やPDFで受け取った領収書をはじめとするあらゆる国税関係書類を電子保存することができるシステムです。電子帳簿保存法に対応するためのシステムを導入したいとお考えの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
 
 

監修者プロフィール

宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

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