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働き方改革の前に必要な「ECRSの法則」第2回 業務の見える化

第1回では、経理・総務部門の働き方改革を阻害する要因が「人手不足・業務多忙」である点について解説した。あわせて、経理・総務部門の特徴は、「業務量に季節変動があり、属人化させて業務効率化を図る」点であることがわかった。 第2回は、業務の見える化および業務見直しの手法である「ECRSの法則」について解説する。

働き方改革の前に必要な「ECRSの法則」第2回 業務の見える化

最終更新日:2019年08月05日

目次

業務の一覧表を作成する

第1回で解説したとおり、経理・総務部門は担当者に業務を属人化させ効率化を図っている。したがって、自分が担当している業務以外の内容については、わからないことも多いのではないだろうか。

経理・総務のマネージャー職についても、担当者が日頃行っている業務内容を把握しているだろうか? 経理・総務の「働き方改革」は、まず部署全体の業務量を把握することが第一歩となる。

(1)業務一覧表の作成

筆者が勤務していた金融機関では、経理・総務部門の業務見直しを図る機会があり、簡単な業務一覧表を作成することから始めた。

業務一覧表には、次のような項目を記載する。
①業務名 ②担当者 ③目的 ④頻度 ⑤作業時間
まずはこの5つの項目について業務をすべて記入し、業務の洗い出しをする

作成のポイントは次のとおり。

①すべての業務を記入する
「この業務は大したことない作業だから……」と思う業務も、担当者にすべて記入してもらうことが必要だ。そのような作業に「ムダ」が潜んでいる可能性がある。

②時間は感覚でOK
作業時間については厳密に記載する必要はない。「だいたいこれくらい」という数値でよい。分単位であれば、後々の分析もやりやすくなる。

③数年に1回の業務も忘れずに
例えば、法令対応で5年に1回だけ必要な業務というものもある。そういった業務は、担当者が経験せずに異動した場合、ブラックボックスになる可能性が大きい。忘れずに記載させる必要がある。

(2)ボトルネックとなる作業を見つける

1つの業務が1つの作業だけで終わるものは少ない。例えば、ある資料をつくるために次の3つの段取りがあるとする。

①AとBとCのデータを取得する
②3つのデータを表計算ソフトに転記する
③計算機能を使い、グラフ化して稟議書の資料として添付する

例えば作業①について、実は「データを取得するためのパソコンの動作が遅く、データを取るまでに1時間かかる」といったボトルネックがある場合もある。

こういった隠れたボトルネック作業は、上長はわからず担当者だけで引き継がれていることも多い。業務一覧表を作成するなかで、全て洗い出していきたい視点である。


ルーチン業務に追われていないか?トラブルは防げないか?

前項の業務一覧表を作成する際、「非定例業務」と「定例業務」はシートを分けて記載することがポイントだ。定例業務(ルーチン)と非定例業務(トラブル、イレギュラー、プロジェクト業務など)の割合を把握することで、定例業務に追われていないか分析することができる。定例業務が多い経理と、比較的イレギュラー対応が多い総務では、この割合は変化するだろう。

特に、残業の原因になるものは「トラブル」である。この「非定例的業務」への対応も業務効率化の重要な視点になるため、抜け漏れなく記載したい。

また、業務一覧表を作成するなかで、「トラブル」をそもそも発生させないために、平常時に対策ができることはないか考える視点も得られるだろう。

ECRSの法則とは

業務一覧表ができた後、「ECRSの法則」の観点に沿って、業務それぞれについて方針を検討する。

「ECRSの法則」とは、生産管理の現場で用いられる、業務効率化を図るための順番と視点である。次の4つから構成されており、検討の順番も「ECRS」で行うとされている。

①E:Eliminate(なくせないか) その仕事が「なくせないか」を検討する。
②C:Combine(いっしょにできないか) その仕事と他の仕事を一緒にできないかを検討する。
③R:Rearrange(かえられないか) 順序を入れ替えることで効率化を図れないか検討する。
④S:Simplify(かんたんにできないか) その仕事を簡単にできないか検討する。


E(なくせないか)から考える

このうち、最初に検討する視点が「E:Eliminate(なくせないか)」である。

なくすことでその作業にかかっていた時間がまるごと削減できるため、コストもかからず、業務効率化への効果が大きい。経理・総務部門でまず検討する具体的な業務としては、「報告をなくす」「会議をなくす」である。特に、会議を減らすことは影響が大きい。会議が1つなくなれば、その会議のために準備する資料の作成業務がなくなるからだ。

しかし、やみくもに業務をなくしてしまった場合、「実はここの部署でこの報告書のデータを使っていた」といった事例が発生する可能性がある。法令対応の作業であれば、なくすこと自体が難しいかもしれない。

次回は、この「E(なくせないか)」から順を追って、ECRSの法則の視点からみた業務改善の方法について解説する。

※本記事は更新日時点の情報に基づいています。法改正などにより情報が変更されている可能性があります。

本コラムの著者プロフィール

米澤 智子(よねざわ ともこ)

株式会社プロデューサー・ハウス ライター、コンサルタント 2009年地方銀行入行、中小企業融資および総務部門で銀行全体の通信設備管理や働き方改革、株主総会運営に携わる。2016年中小企業診断士登録。現在は公的機関において製造業のBtoC向け販路拡大支援に携わる。
共著「一人ひとりの『働き方改革』講座」(日本マンパワー株式会社)

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