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請求書の正しい保管方法は?保管期間と原本の保存義務についても解説

経理の仕事ではおなじみの請求書。企業規模が大きくなれば、毎月1,000枚以上の請求書を処理することも珍しくありません。これらの膨大な請求書は、受領や発行後、どのように保管すればよいのでしょうか。 そこで今回は、改正電子帳簿保存法が施行されたことによる保管方法の変更点や、保管期間などを含め、詳しく解説します。

請求書の正しい保管方法は?保管期間と原本の保存義務についても解説

最終更新日:2023年11月10日

目次

請求書とは「証憑」のひとつ

請求書は商品やサービスの対価を相手に請求するために発行する書類で、取引が成立したことを証明する「証憑(しょうひょう)」のひとつです。請求書には、取引内容や数量、価格などが正式に記載されているため、どの取引に対して、いつ、いくら請求したのかを示す証拠となります。
 
<請求書の項目例>
・発行元の名称、連絡先
・取引年月日
・相手先の名称
・取引内容
・取引金額
・消費税額
・請求合計額
・支払先
・支払期限
 
2023年10月からスタートしたインボイス制度で取り扱う適格請求書(インボイス)には、上記に加え、適格請求書発行事業者の登録番号、税率ごとに区分して合計した対価の額および適用税率、税率ごとに区分した消費税額のほか、取引内容が軽減税率の対象であればその旨の記載も求められます。

請求書の保管方法は?

請求書の保管方法は、紙で受け取るか、電子データで受け取るかによって異なります。それぞれの保管方法を知っておきましょう。

紙で受け取った場合の保管方法

紙で受け取った請求書の保管方法は、下記の2種類です。紙で受け取った請求書は、原則として相手から受け取った請求書原本を保存するよう定められています。
 
<紙で受け取った請求書の保管方法>
・請求書原本を取引先別、年度別などに分類して、ファイリングする
・請求書原本をスキャンして、電子データとして保存する
 
請求書原本を保管する場合は、年度別にファイルを作り、取引先ごとに受け取った日付順でファイリングするといいでしょう。請求書は所得税法や法人税法により一定期間保存しなければならないと定められています。年度別にしておくことで、保管期間が過ぎた請求書を廃棄する際に間違いを防ぐことができます。
 
請求書原本を電子データとして保存する場合には、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」の要件を満たさなければいけません。スキャナ保存には、スキャンするデータの解像度やタイムスタンプの付与など、多くの要件が規定されているため、スキャナ保存に対応したシステムを利用するのが一般的です。

電子帳簿保存法に対応したさまざまなシステムがあるため、自社にとって使いやすいものを選ぶことが大切です。ただし、要件を満たしているかについては、導入前にしっかり確認しておいてください。
 
※スキャナ保存の要件については「電子帳簿保存法とは?対象書類と保存要件や期間をわかりやすく解説」をご覧ください。

電子データで受け取った場合の保管方法

電子データで受け取った請求書の保管方法は、これまで、紙に印刷してファイリングするか、電子データのまま保存するか、どちらかを選択できました。
しかし、2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法によって「電子データで受け取った請求書は、電子データのまま保存しなければならない」と定められました。2023年12月31日までの宥恕措置が設けられていますが、2024年1月1日以降、いくつかの緩和要件はあるものの、電子で授受したデータは、基本的には電子保存に対応する必要があります。
 
請求書を電子データで保存する場合には、以下の「真実性の要件」と「可視性の要件」の2つを満たさなければいけません。
 
電子取引の保存要件



出典:国税庁「電子保存法が改正されました」(令和4年1月改訂)
 
ただし、以下に該当する場合、検索機能の確保に関する要件は満たさなくてもよいとされています。
・基準期間(2課税年度前)の売上高が5,000万円以下である
・電子的に保存されたデータをプリントアウトした書面について、取引年月日や取引先ごとに整理された状態で提示・提出できるようにしている
 
また、相当の理由があると所轄税務署が認めた事業者については、調査などの際にダウンロードの求め、およびプリントアウトした書面の提示・提出の求めに応じられるようにしておくことで、改ざん防⽌や検索機能などの保存時に満たすべき要件を満たしていなくても、単に電子データを保存することが可能です。

請求書の保管期間をケース別にご紹介

請求書の保管期間は、保管する事業者の属性などに応じて定められています。法人と個人事業主、それぞれの保管期間を確認しておきましょう。

法人は7年が基本、場合によっては10年

法人の請求書保管期間は、法人税法によって7年間と定められています。この期間は発行日からではなく、請求書を発行した事業年度における確定申告書の提出期限の翌日から起算します。
 
ただし、欠損金の繰越控除を利用する場合には、繰越期間と同じ10年間保存しなければなりません。年度によって保管期間が変わると管理に混乱を招く可能性があるため、法人の場合は基本的に10年間保管するようにしておくといいでしょう。

免税事業者である個人事業主の場合は5年、課税事業者の場合は7年

免税事業者である個人事業主の請求書保管期間は、所得税法によって5年間と定められています。保管期間は、請求書を発行した年における確定申告期限の翌日から5年間です。なお、この保管期間は白色申告でも青色申告でも同様です。

一方、課税事業者の個人事業主は、請求書を7年間保管すると定められているため、保管期限を混同しないように注意しましょう。

適格請求書の場合は法人・個人事業主問わず7年間

インボイス制度導入後は、適格請求書について、受領したもの、控えともに7年間保管する必要があります。これは法人でも個人事業主でも変わりません。

請求書の控えにも保存義務はある?

請求書は、発行したものだけでなく、控えにも保存義務があります。
しかし、控えを作ることは義務ではないため、そもそも控えを作成していないのであれば保管する必要はありません。
 
とはいえ、自社がどのような請求書を出したのか履歴が残らないのは不便です。基本的には控えを作成し、保管することをおすすめします。
 
また、適格請求書の場合は、控えを作成しなければなりません。加えて、適格請求書の発行側は、その控えについても7年間保管が必要です。

受け取り側・発行側で保管方法や期間に違いはある?

請求書を受け取った側と発行した側で、保管方法に違いはあるのでしょうか。3つのパターンに分けて、処理の仕方を解説します。

自社で発行した請求書(発行側)

自社で発行した請求書は、基本的に控えを作成して保管することをおすすめします。前述したように、適格請求書の場合は控えを作成し、7年間保管する義務があります。売掛管理表を作成していない場合には、入金済みの請求書控えと未入金の請求書控えを別にしておくと、入金の有無を確認しやすいでしょう。ファイリングする際は、宛先別の日付順にしておくと見やすくなります。
 
なお、電子帳簿保存法改正によって、自社において電子データで発行した請求書の控えは、電子データで保存しなければならなくなりました。メールなどで送付した請求書の控えは、電子データとして保存する必要があります。

自社が受け取る請求書(支払い前・受け取り側)

自社が受け取った請求書は、支払い前に内容の確認を行わなければいけません。請求内容や金額、支払期日などに問題がないかを確認し、支払管理表に転記するか、未払いの請求書とわかるようにしておきましょう。
 
なお、本則を適用する課税事業者が適格請求書を受け取った場合は、受け取った請求書がインボイスの要件を満たしているかどうかの確認と、登録番号が間違いないかどうかの確認も行わなければなりません。

自社が受け取る請求書(支払い後・受け取り側)

自社が受け取った請求書のうち、支払いが完了したものは、取引先ごと、日付ごとにまとめてファイリングします。「済」スタンプを押すなど、支払済みであることがわかるようにしておくと、二重払いなどのトラブルを防ぎやすくなるでしょう。
 
なお、電子データで受け取った請求書は、電子帳簿保存法改正の要件を満たす形で電子的に保存してください。

請求書は5~10年と長期間保管しなければならない書類なので、支払い済みの請求書は電子保存とするなど、適切な保管方法を検討する必要があります。

請求書を電子化するメリット

請求書を電子化することで、さまざまなメリットが得られます。経理業務の効率化につながる4つのメリットを紹介します。

ペーパーレス化の促進

請求書を電子化するメリットは、ペーパーレス化が促進されることです。
請求書を電子化することで紙の請求書を管理する必要がなくなり、書類のペーパーレス化が進みます。同時に、領収書や見積書といったほかの証憑の電子化も進めていくことができれば、経理業務のDXにつながるでしょう。

コストと時間の削減

請求書を電子化するメリットとして、コストと時間の削減も挙げられます。
ペーパーレス化が進むことで、紙代や印刷コスト、郵送コスト、紙の書類の保管コストといった、さまざまなコストの削減が可能です。
 
また、経理担当者が紙を印刷して送付状を作り、封筒に詰めて送付する、紙の請求書の控えを物理的にファイリングする、過去の控えをファイルの中から探す、といった手間もかからなくなるため、業務時間の削減と効率化にもつながります。

請求書対応の迅速化

請求書を電子化することで、請求書対応の迅速化というメリットにもつながります。

請求書を電子化していれば、取引先から請求書に関する問い合わせが来た際に、検索などですみやかに履歴を確認できます。修正があった場合にも、電子データを修正することで即座に送信できるでしょう。
 
一方、紙で請求書を発行していると、再度印刷して郵送し直すといった手間がかかりますし、先方に届くまでのタイムラグも長くなってしまいます。

請求業務の効率化

請求書を電子化するメリットには、既存のシステムと連携することで請求業務の効率化につなげられる点もあります。顧客管理台帳や見積書発行システムといった既存のシステムと請求書発行システムを連携すれば、請求業務を効率良く進められるでしょう。
 
見積もり、受注、請求、入金という一連の流れをシステム的に一括管理すれば、何度も同じ内容や数字を入力する必要がなくなりますし、ヒューマンエラーを防ぐ可能性も高まります。また、顧客ごとの売上管理や見積もり状況も、一目で確認できるようになります。

請求書を電子化して保存する際の注意点

請求書を電子化して保存するためには、電子帳簿保存法の要件を満たさなければいけません。電子データで受け取ったり発行したりした請求書は「電子保存」、紙で受け取った請求書をデータ化して保存する場合は「スキャナ保存」の要件を満たすようにしましょう。
 
電子保存、スキャナ保存とも、複数の要件が設定されています。決められた要件を満たせる、請求書電子化ソフトなどの活用がおすすめです。

電子化した請求書の原本はどうする?

最初から電子データとして受け取った請求書には、原本がありません。そのため、データを保存すれば処理が完了します。
 
一方、紙で受け取った請求書をスキャナ保存する場合、スキャンして取り込んだデータのほかに、原本の紙の請求書も残ります。

スキャンしたデータがスキャナ保存の要件を満たしており、適切に保管されているのであれば、請求書の原本を保存しておく必要はないため、廃棄しても問題ありません。
 
しかし、もしスキャナ保存の要件を満たしていなかった場合、請求書原本を廃棄してしまうと、スキャンし直すことができなくなってしまいます。
 
特に移行期はミスが生じる可能性も高くなるため、一定期間保管しておくと安心です。スキャンしたからといって、即廃棄することは避けるようにしてください。
 
なお、FAXやメールで請求書を送信した後で、原本が郵送されてくるといった場合には、原本を保存しなければいけません。電子化を進めていくのであれば、取引先と相談をして、原本の郵送はしないように依頼することをおすすめします。

請求書の送付はメール添付のみにしてもらうか、請求書の受け渡しができるクラウドシステムを活用するとよいでしょう。


インフォマートなら請求書の電子化で請求書の管理業務をスムーズに

電子帳簿保存法の改正によって、請求書を紙で受け取った場合と電子データで受け取った場合の保管方法が変わります。同じ時期に受け取った請求書でも、紙と電子データの場合で保存場所や保管方法が変わることから、履歴を見返そうとした際に混乱を招いてしまう可能性があります。
 
この機会に、請求書全般の電子化を検討してみてはいかがでしょうか。請求書からスタートして、領収書、見積書と段階的に経理のペーパーレス化を進めていくことで、業務効率化を図れます。

株式会社インフォマートが提供する「BtoBプラットフォーム 請求書」は、請求書の受領と発行、双方に対応した電子化システムです。請求書のペーパーレス化や、経理のテレワーク化の実現にお役立てください。
 
また、請求書以外のあらゆる国税関係書類の電子化を進めていくなら「STORAGE by invox」が便利です。請求書をはじめ、契約書や領収書、納品書、検収書、見積書、注文書などを一括して、電子帳簿保存法に対応する形で電子保存できます。ぜひ導入をご検討ください。

「BtoBプラットフォーム 請求書」についてのよくある質問はこちら



よくある質問

Q1.請求書は紙で保管してもいいですか?

請求書を紙で受け取った場合は、紙のまま保存もしくは請求書原本をスキャンして電子データとして保存することができますが、電子データで受け取った場合は2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法にしたがって電子データのまま保存する必要があります。

詳しくは「請求書の保管方法は?」をご確認ください

Q2.紙の請求書はどこに保管すればいいですか?

紙の請求書の保管には、請求書原本を取引先別・年度別に分類してファイリングする、もしくは、請求書原本をスキャンして、電子データとして保存する方法があります。請求書を電子データとして保存する場合には、スキャンするデータの解像度やタイムスタンプの付与など、電子帳簿保存法の「スキャナ保存」の要件を満たさなければいけません。

詳しくは「請求書の保管方法は?」をご確認ください

Q3.請求書の控えにも保存義務はありますか?

請求書の控えにも保存義務がありますが、控えを作ることは義務ではないためそもそも控えを作成していないのであれば保管の必要はありません。ただし、インボイス制度以降、適格請求書の場合は控えを作成・保管しなければなりません。

詳しくは「請求書の控えにも保存義務はある?」をご確認ください


監修者プロフィール

宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業、1997年から税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上たちました。現在は、税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。あわせて、CFP®(ファイナンシャルプランナー)の資格を生かした個人様向けのコンサルティングも行っています。また、事業会社の財務経理を担当し、会計・税務を軸にいくつかの会社の取締役・監査役にも従事しております。

【保有資格】CFP®、税理士

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