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働き方改革の前に必要な「ECRSの法則」第3回 ECRSの進め方

第1回では、経理・総務部門の働き方改革を阻害する要因について、第2回は業務の見える化および業務見直しの手法である「ECRSの法則」の概要について解説した。 第3回は、「ECRSの法則」の進め方および検討の視点について、順を追って解説する。

働き方改革の前に必要な「ECRSの法則」第3回 ECRSの進め方

最終更新日:2019年08月19日

目次

E(なくせないか)

第1回では、経理・総務部門の働き方改革を阻害する要因について、第2回は業務の見える化および業務見直しの手法である「ECRSの法則」の概要について解説した。第3回は、「ECRSの法則」の進め方および検討の視点について、順を追って解説する。

組織が成長すると、それに比例して業務量も増えていく。したがって、増えた分の業務を減らさなければ、いつか組織はオーバーフローしてしまう。E(なくせないか)を考えるための視点は、次の3点である。

(1)最終ターゲットは誰か?

第2回で解説した業務一覧表に、「誰のため」の仕事か記載するセルを追加しよう。例えば、毎月集計するデータが経営会議で報告されている場合、最終ターゲットは「経営者」になる。現在の業務から生まれているアウトプットが、最終ターゲットのレベルに沿っているか検討したい。

(2)今本当に必要な仕事なのか?

筆者は金融機関在職時、毎月役員会議で報告するためのデータを作成していた。しかし、データの確認を希望していた役員が異動したことにより、今後もデータの提示が必要かどうか、後任の役員に相談したことがある。その結果、「今は経営判断に重要な指標ではない」という判断をうけ、数回トライアルした後、廃止した。

このように、実はある特定の人物だけが必要としていた仕事や、時流に沿わなくなった報告モノが存在する。業務見直しをする際は「今本当に必要な仕事なのか」という視点で検討したい。

(3)重要度に照らし、頻度を減らしてみる

完全になくすことが難しい場合は、重要度に照らして頻度を減らしてみることも方法の一つになる。例えば、毎週報告していたデータ集計は「月2回」に減らしても十分だったといった事例だ。

すべての業務に等しく力を割くことは不可能である。その業務の目的や重要度に照らし、まず業務の削減から検討していきたい。


C(いっしょにできないか)

E(なくせないか)を考えた後、残った業務について検討する。つぎは「C(いっしょにできないか)」だ。類似した業務を一緒に実施することで、効率化を図る手法である。

この視点は担当者だけで気がつくのは難しいため、経理・総務部門のリーダーを中心にトップダウンで提案することが望ましいだろう。

また、この「C」は、経理・総務部門の特徴である「業務量に季節変動がある」点にも効果がある。例えば、作業をする時期は異なるが、作業の内容が類似する仕事について、閑散期に一緒に作業することに変更するという方法がある。これは作業回数の削減と業務平準化につながるだろう。

R(かえられないか)

3つ目の視点は「R(かえられないか)」である。代替という視点では、ここが最もICTツール導入を検討する箇所である。

筆者は金融機関在職時、約200ある営業店から、年2回消防法に関する報告を受けていた。法令に関わる業務であり、なくすことはできない。問題は、この報告をまとめる方法だった。

①営業店に報告フォーマット(文書ファイル)を社内ファイルサーバーで共有
②営業店から、印刷した紙の報告用紙郵送で送られてくる
報告内容を表計算ソフトに転記する
④報告がない営業店へ督促する
⑤報告内容をまとめ、稟議書を作成して上司に報告する

この4つの業務フローのうち、「③表計算ソフトに転記する」に時間がかかっていた。印刷した紙を表計算ソフトに転記することに1支店あたり約4分、それが約200あるため約800分(約13時間)必要だった。

ここで、本事例のような社内報告作業を簡易化するシステムが全社で導入された。私は早速、この業務を新システムに沿う作業に変更して実施した。

その結果、営業店からの報告をシステムで自動的に集計できるようになったため、③の作業が不要になった。あわせて、作業の自動化により集計ミスも削減することができたのだ。

「R (かえられないか)」は、今まで手作業でやっていた業務について、自動化を図ることを中心に検討してみてはいかがだろうか。

S(かんたんにできないか)

ECRをすべて検討し、それでも残った業務については「S(かんたんにできないか)」を検討する。「この作業は複雑でよくミスをする」といった作業はないだろうか? この点は担当者の日頃のちょっとしたグチから判断することができる。

「この報告書を作るための計算は、複雑でよく間違えるので、2~3人でチェックしてから課長にお渡ししています」 「支店から報告書があがってきますが、項目が複雑なためか支店の担当者から質問が多くて。その対応に時間がかかっています」

こういった作業は、より項目を簡素化できないか、作業を単純化できないか検討する。複雑すぎる作業は、ミスの元でもある。

以上、「ECRSの法則」の視点に基づいた、業務改善の方法について解説した。次回は、業務改善の取り組みを進めるにあたり、経理・総務部門のリーダーに必要な、リーダーシップについて解説する。

※本記事は更新日時点の情報に基づいています。法改正などにより情報が変更されている可能性があります。

本コラムの著者プロフィール

米澤 智子(よねざわ ともこ)

株式会社プロデューサー・ハウス ライター、コンサルタント 2009年地方銀行入行、中小企業融資および総務部門で銀行全体の通信設備管理や働き方改革、株主総会運営に携わる。2016年中小企業診断士登録。現在は公的機関において製造業のBtoC向け販路拡大支援に携わる。
共著「一人ひとりの『働き方改革』講座」(日本マンパワー株式会社)

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