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そもそも棚卸資産とは?概要や種類、評価方法から「棚卸資産」を紐解く!

棚卸資産は、経理に馴染みの深い用語のひとつ。しかし棚卸資産と一口にいっても含まれる種類は多いうえ、評価方法も複雑でなかなかわかりにくいものです。改めて「棚卸資産」について振り返ってみてはいかがでしょう。この記事では概要やその種類、低価法や原価法といった評価方法、評価方法の変更手続きなどから、「棚卸資産」について見ていきます。

そもそも棚卸資産とは?概要や種類、評価方法から「棚卸資産」を紐解く!

最終更新日:2022年03月23日

目次

棚卸資産とは何か

棚卸資産とは、販売を予定して仕入れたものの、まだ組織内に残っている資産のこと。こうした棚卸資産は販売が実行されるまで、資産として計上して仕入を減算します。

そもそも資産とは? 資産の種類

資産は、固定資産と流動資産にわかれています。その特徴は下記のとおりです。

・固定資産:不動産や建物といった、長い期間所有するもの

・流動資産:流動の文字どおり、出入りが頻繁に行われる、1年以内に現金化できる資産

棚卸資産は、「販売を予定して仕入れ、売れたらまた仕入れる」といった出入りが生じるため、流動資産に分類されます。

棚卸資産の種類5つ

棚卸資産と一口にいっても5種類あります。それぞれについて見ていきましょう。

商品または製品

商品と製品の違いは、下記のとおりです。

商品:仕入れたあと、加工をせずにそのまま販売するもの

製品:組織内で製造して、そのまま販売できるもの

主に小売業や物品販売業で生じる棚卸資産といえます。

半製品(はんせいひん)

原材料をもとに製造や加工をしてほぼ完成しているものの、販売に至らず組織内に残っているもの。主に製造業で生じる棚卸資産といえます。 

仕掛品(しかかりひん)

原材料をもとに製造や加工をしたものの、完成までに至っていない途中のもの。主に製造業で生じる棚卸資産といえます。

原材料(げんざいりょう)

加工するために仕入れたものの、加工が行われず形を変えないまま組織内に残っているもの。主に建設業や製造業で生じる棚卸資産といえます。 

貯蔵品(ちょぞうひん)

組織内で使うため買ったにもかかわらず、使われずに貯蔵されているもの。たとえば収入印紙や切手、燃料などです。

棚卸資産の評価方法①低価法

ここからは棚卸資産の評価方法について、見ていきましょう。棚卸資産の評価方法は「低価法」と「原価法」の2つです。低価法とは、原価を「在庫を買ったときの価格」と「現時点での価格」で比較して、安いほうを使う評価方法のこと。

低価法の特徴とメリット

低価法の特徴は、下記のような点です。

・期末に在庫の価値が帳簿価額を下回った際、その下がってしまった在庫の価格で棚卸資産を評価できる

・在庫の期末評価額と帳簿上の価額との間に生じた差額を費用として計上できる

もし何らかの事情で資産の市場価値が下がった場合、市場価値と資産の帳簿価額にズレが生じます。帳簿価額のまま計算すると利益が多くなってしまい、その事業年度における税の負担も多くなってしまうでしょう。低価法はそうした状況でも節税できるのがメリットです。


棚卸資産の評価方法②原価法

原価法とは基本、帳簿の価額を評価額として設定する方法のことで、6つの計算方法があります。それぞれについて見ていきましょう。 

売価還元法

種類の近い棚卸資産を原価率の近いグループにまとめたうえで、期末時に出ている棚卸資産の合計販売額に、原価率をかけて計算する方法のこと。原価率の計算式は、「(期首における棚卸資産の取得価額+期中に仕入れた棚卸資産の取得価額)÷(期末における棚卸資産の販売額+期中に販売した棚卸資産の販売額)」。

たとえば小売を行う百貨店やスーパーの場合、専門店と異なり、とかく取り扱う商品が多いです。日々の業務もあるため商品ごとに「原価はいくらなのか」調べていく時間や手間はかけられません。

売価還元法はそうした組織で利便性の高い棚卸資産の評価方法なのです。また計算式にもあるとおり販売価額から計算できるため、商品に値札がついている小売業に向いています。

ただし「原価率の近い商品ごとにグループ分け」する手間もかかるのです。さらにグループ分けは棚卸資産を評価する組織の主観で行われます。そのため理に適っていないもしくは独自の商習慣にもとづいたグループ分けになってしまう可能性も高いです。

個別法

仕入れたときの価格で棚卸資産を評価する方法のこと。棚卸資産それぞれを実際の払出や仕入に準じて計算していくため、種類や数が多い場合は手間と時間がかかります。向いているのは貴金属や宝石、土地などです。

先入先出法

期末に近い時点で仕入れたものから計算する方法のこと。「棚卸資産は、仕入れた時点から順に販売される」という考えにもとづいています。

「必要なものから仕入れ、そして販売する」というのは自然な行動であるため、実際に示される資産の流れと一致しやすいのです。ただし物価が変わった場合、デフレのときは小さく、インフレのときは利益が多く評価されてしまいます。

総平均法

総数量で、「前期から繰り越し、つまり期首における棚卸資産の取得価額合計」と「その期中にあたらしく入手した棚卸資産」を割って計算する方法のこと。期末まで計算できないデメリットはあるものの、物価が変わった結果に生じる影響は出にくくなるといえます。

移動平均法

棚卸資産を仕入れた際に都度、「在庫とその時点における棚卸資産の平均単価」から計算する方法のこと。メリットは仕入れのたびに計算するため、「今どうなっているのか」といった現状がわかりやすくなる点です。デメリットは、仕入れのたびに計算していくため手間がかかる点といえます。

最終仕入原価法

「最終仕入」の文字どおり、期末に最も近い時点での仕入金額が取得価額になる計算方法のこと。メリットは「評価の際、どの地点の金額を使うのかわかりやすく、計算もかんたん」な点です。

デメリットは「期末まで評価できない」と「価格が変わりやすい棚卸資産の場合、実際に使われた金額との誤差が生じる」点の2つ。また評価方法を選ばなかった場合、棚卸資産の評価は最終仕入原価法にて行われますので覚えておきましょう。

棚卸資産の評価方法を変えるにはどうしたらいい?

結論からいえば、希望する評価方法にするための申請が必要です。もし何も申請しない場合、自動的に原価法のひとつ「最終仕入原価法」に決定されます。

評価方法を変えたい場合は、税務署へ「棚卸資産の評価方法の変更承認申請書」を提出しましょう。ただし変えたい事業年度が始まる日の前日までに提出が必要です。また一度決定したら、3年以上は同じ方法を適用しなければなりません。

なお組織が申請した方法と違う方法で棚卸資産を評価した場合、税務署側は「最終仕入原価法」に準じて計算します。

棚卸資産のポイントをおさえて、自社に合う評価方法は何か、見直してみよう!

棚卸資産は、販売を予定して仕入れたもののまだ組織内に残っている資産のことで、流動資産に該当します。また棚卸資産と一口にいっても、

1. 商品または製品

2. 半製品(はんせいひん)

3. 仕掛品(しかかりひん)

4. 原材料(げんざいりょう)

5. 貯蔵品(ちょぞうひん)

の5つがあるのです。こうした棚卸資産の評価方法は、「低価法」と「原価法」の2つ。

1. 低価法:原価を「在庫を買ったときの価格」と「現時点での価格」で比較して、安いほうを使う評価方法。

2. 原価法:基本、帳簿の価額を評価額として設定する方法のことで、6つの計算方法がある。

気をつけたいのは、希望する評価方法に変えるには申請が必要な点。もし何も申請しない場合は、自動的に原価法のひとつ「最終仕入原価法」に決定してしまううえ、一度決めた評価方法は、3年以上継続しなければならないと定められているのです。

棚卸資産のポイントをおさえたうえで、「自社に合う棚卸資産の評価方法は何か」「同じ方法を3年以上継続する点を踏まえたうえで、将来自社に該当しそうな評価方法は何か」今一度考えてみてはいかがでしょう。

監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

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