無料オンライン相談

減価償却費の計算方法は?定率法・定額法の計算式や仕訳をわかりやすく解説

減価償却の計算方法はわかりにくいため、頭を抱える人も多いでしょう。また計算方法だけでなく、計算した減価償却費をどう仕訳するかについても、知っておく必要があります。この記事では、そうしたわかりにくい減価償却費の計算方法と仕訳方法について、かみ砕いて解説します。

減価償却費の計算方法は?定率法・定額法の計算式や仕訳をわかりやすく解説

最終更新日:2022年03月16日

目次

減価償却とは?

減価償却とは、固定資産の費用を定められた年数に従って分割し、経費に計上していく会計処理のこと。つまり減価償却に該当する資産は、一括で経費に計上できません。減価償却は「時間の経過とともに資産価値は減っていく」という考え方にもとづいているのです。

税制改正による減価償却の変化

以前は取得価額の10%が残存簿価(定められた耐用年数がすべて経過したあとに生じる資産の価値)として扱われていました。しかし平成19年度に行われた税制改正で、残存簿価を残す必要がなくなり、下記の額まで減価償却が可能になったのです。

無形資産や坑道の場合:全額

それ以外の場合:1円

なぜ1円を残すかというと、「資産がまだある」と帳簿で明らかにするためです。

詳細は「会計処理に欠かせない減価償却!関連用語やその対象、特例などをわかりやすく解説」を参照ください。

減価償却の計算方法①定額法

では実際に減価償却をする際、どう計算するのでしょう。まず「定額法」について見ていきます。

定額法とは原則、毎年同じ額を減価償却していく計算方法のこと。計算式は「取得価額×(償却率)」で、償却率は耐用年数によって変わります。

定額法の計算例

たとえば耐用年数10年の100万円で取得した資産を、定額法で償却したとします。すると、「100万×0.1(耐用年数10年の場合における償却率)」で1年目から9年目までは毎年10万円の償却となるのです。最後の10年目は、1円を残すため9万9,999円の償却になります。

定額法のメリットと注意点

計算式がシンプルでわかりやすいうえ、毎年同じ金額で減価償却するため会計処理も進めやすいというメリットがある一方、毎年一定額を償却していくため、資産購入初期の節税につながりにくい側面があります。また、数年経過して利益が出しにくくなった頃でも、減価償却額は変わらないため、利益を圧迫する可能性があるのです。

減価償却の計算方法②定率法

定率法とは最初の年に最も多く、以降は償却額が少なくなっていく計算方法のこと。計算式は「未償却残高×定率法の償却率」で、これで割り出した額を「調整前償却額」と呼び、償却率は耐用年数によって変わります。

償却額が償却保証額よりも少なくなった場合、それ以降は「改定取得価額×改定償却率」で計算し、毎年同じ額の償却となります。また下記のような関連用語があります。

償却保証額:「取得価額×耐用年数と照らし合わせた保証率」で計算。

改定取得価額:「未償却残高×定率法の償却率」で計算した金額が、最初に償却保証額を下回る年の期首にある未償却残高

改定償却率:改定取得価額への償却費を以降同じにするため使われる償却率

なお法人税法では原則、定率法による計算を求めています。ただしこれは税務上の処理。会計上では法人税法が求める方法でなくても問題ありません。

定率法の計算例

たとえば耐用年数10年の100万円で取得した資産を、定率法で償却したとします。

償却保証額:「100万円(取得価額)×0.06552(耐用年数と照らし合わせた保証率)」=6万5,520円。

改定取得価額:26万2,144円(100万-前年までの償却費の合計額))

改定償却率:0.25

すると1年目は「100万×0.2(耐用年数10年の場合における償却率)」で、2年目から6年目までは、「(100万-前の年までに発生した償却費をすべて合わせた額)×0.2」となるのです。

・1年目:100万×0.2=20万

・2年目:(100万-20万)×0.2=16万

・3年目:(100万-36万)×0.2=12万8,000円

・4年目:(100万-48万8,000円)×0.2=10万2,400円

・5年目:(100万-59万400円)×0.2=8万1,920円

・6年目:(100万-67万2,320円)×0.2=6万5,536円

7年目になると、調整前償却額は(100万-73万7,856円)×0.2=5万2,429円(端数切り上げ)。ここで償却額が償却保証額の6万5,520円より少なくなります。そのため、「26万2,144円(改定取得価額)×0.25(改定償却率)」で償却額を計算すると、6万5,536円になるのです。

以降7年目から9年目の償却額は6万5,536円となり、最後の10年目は1円を残すため6万5,535円となります。

定率法のメリットと注意点

資産を取得した直後の償却額が大きくなるため、その年の節税効果が見込めるというメリットがある一方、上記の通り、計算が若干複雑であり、また年数が経つにつれて減価償却額が少なくなるため、節税効果が無くなっていくという側面があります。

覚えておきたい!法人が「定率法以外で計算したい」ときの手続き

法人が定率法以外で計算する場合、手続きが必要です。それは所轄の税務署に「減価償却資産の償却方法の届出書」を提出すること。

法人名や代表者の氏名・住所にくわえ、該当する資産や設備の欄に希望の償却方法を記入して、税務署に届出書を持参あるいは送付します。届出書は国税庁のサイトからダウンロードできるため、すぐに入手できます。

減価償却はどうやって仕訳する?その方法は「直接法」と「間接法」の2つ

減価償却の仕訳方法は、「直接法」と「間接法」の2つ。それぞれのやり方や特徴について解説しましょう。

減価償却の仕訳①直接法

直接法とは、固定資産から減価償却費を直接差し引いていく方法のこと。たとえば耐用年数10年の100万円で取得した資産を定額法で償却したとします。すると帳簿の処理は下記のようになるのです。

借方        
金額
貸方
金額
減価償却費 10万円 固定資産 10万円

直接法では「現在、固定資産がどのくらいの価値になっているのか」わかりやすくなります。ただし固定資産の額は減価償却をするたびに減っていくうえ、「償却額そのものがいくらなのか」がわかりにくくなってしまうのです。

減価償却の仕訳②間接法

間接法とは、「減価償却累計額」という科目に集計していく方法のこと。たとえば耐用年数10年の100万円で取得した資産を定額法で償却したとします。すると帳簿の処理は下記のようになるのです。

借方
金額
貸方
金額
減価償却費 10万円 減価償却累計額 10万円

間接法では「固定資産の取得価額」がそのまま帳簿上に残ります。そのため「取得価額―減価償却累計額」の計算をすることで、固定資産の帳簿価額が明らかになるのです。よって一般的には間接法が使われます。

減価償却の計算と仕訳

最後に改めて減価償却の計算と仕訳を振り返ってみましょう。まず減価償却の計算方法は、定額法と定率法の2つ。

1. 定額法:計算式がシンプルでわかりやすいうえ、毎年同じ金額で減価償却するため、予定が立てやすい。ただし資産購入初期の節税にはつなげにくい

2. 定率法:資産購入直後の節税効果が見込める。ただし、計算方法が若干複雑

そして減価償却の仕訳は、「直接法」と「間接法」の2つです。

1. 直接法:「現在固定資産がどのくらいの価値になっているのか」わかりやすくなる。ただし固定資産の額は減価償却をするたびに減っていく。そのうえ償却額そのものがいくらであるのかもわかりにくくなる

2. 間接法:「固定資産の取得価額」がそのまま帳簿上に残るため、「取得価額―減価償却累計額」によって固定資産の帳簿価額が明らかになる。よって一般的には間接法が使われる

そもそも減価償却では、対象となる資産や耐用年数が定められています。つまり「自社が持つ資産のどれが対象なのか」「それの耐用年数は何年なのか」しっかり確認すれば、式に当てはめて計算していけるのです。

何より経理システムという便利なツールが存在します。つまり経理システムを活用すれば自動で計算できたり資産の仕訳がかんたんになったりするのです。経理システムを導入して計算や仕訳を楽にしながら、減価償却について学びを深めてみるのはいかがでしょう。

監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

電帳法・インボイス制度の対応も
業務効率化もこれ一つで!

BtoBプラットフォーム 請求書
資料ダウンロード

詳しくわかる資料をプレゼント
  • 01.本サービスの概要、特徴
  • 02.導入により改善・削減できる内容の事例
  • 03.本サービスの料金体系
  • 04.他社サービスとの機能比較一覧