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働き方改革の前に必要な「ECRSの法則」第4回 業務効率化のカギ

経理・総務部門の働き方改革は、役職者のリーダーシップが大きく影響する。合わせて、担当者を巻き込んだボトムアップ方式の取り組みも有効である。経理・総務の役職者に必要なリーダーシップの姿勢について解説する。

働き方改革の前に必要な「ECRSの法則」第4回 業務効率化のカギ

最終更新日:2019年08月26日

目次

経営トップや現場リーダーのリーダーシップがカギ

第1回では、経理・総務部門の働き方改革を阻害する要因について、第2回は業務の見える化について、第3回は、「ECRSの法則」を検討する視点について解説した。

「ECRSの法則」に則り業務を見直すことで、経理・総務部門の業務効率化は確実に図られる。しかし、第1回で解説したように、経理・総務部門の働き方改革を阻害する大きな要因は「人手不足と業務多忙」である。つまり、「業務改善に取り組みたくても時間も余裕もない」のが、経理・総務部門の本音ではないだろうか。

業務の見える化を図るために「業務の一覧表を作ってください」とメンバーにいきなり依頼したところで、担当者は日々の業務に追われている状態である。「そんなヒマはありません!」「また課長が仕事を増やした!」と言い返されるのがオチだ。では、どのように進めればよいのだろうか。

(1)経営トップからの意思表示

筆者が勤めていた金融機関では、まず経営トップから「業務効率化が経営課題のうち、最優先課題である」という意思表示が示された。業務効率化に取り組むうえでは、経営トップからの強いメッセージが必要だ。これがなければ、従業員は目先の仕事を優先し、働き方改革に対するインセンティブが働かないからだ。

(2)ベテラン社員に考えさせる

筆者が勤めていた金融機関の経理・総務部門では、第1回で解説したとおり、経理・総務業務を中心にキャリアを積んだベテランの女性たちが支えていた。しかし、その女性たちを生かすか殺すかは、上司の行動次第で大きく変わっていた。

私が在職時の上司(経理・総務部門を統括する立場)は、このベテラン社員への対応が非常にうまかった。上司は、常に「●●さんならどうしますか? 今までの経験から、いい方法はありますか」と、ボトムアップ式で考えさせていた。提案がよければ「それはいいですね、●●さん、ぜひやってみていただけませんか」とさらに仕事を任せていたのだ。

ベテラン社員も、自分が考えた提案が承認され、かつその仕事を自分に任せてもらえたので、仕事に対するモチベーションがあがっていた。さらに提案を上司に重ね、仕事が効率的にまわるようになった。

ベテラン社員の強みは、さまざまな課題対処スキルを経験値として保有していることだ。しかし、その強みは本人止まりで、チームに共有されていないこともある。ぜひ、経理・総務のリーダーには、ベテラン社員にフォロワーシップを発揮させるような環境づくりをして頂きたい。

余談だが、ベテランたちの取り扱いに失敗していた上司は、自身の経験を基に指示をするタイプであった。「今までこれでうまくいっていたので、こうしてください」といったような依頼の仕方だ。女性たちは「言われた通りにやればいいんだろう」と仕事をこなすようになり、何か問題が起きても「課長が言った通りやりました」といって、責任を回避していた。


経理・総務は「攻める経営」の屋台骨

「コストセンター」という認識が先行する経理・総務部門。一方、近年成長を続けている企業は、経理・総務を中心としたバックオフィス部門について、属人化が進んでいた業務を見直し、クラウドサービスやICTツールなどに投資をすることで、より省力化・効率化を図っている。

その結果、例えば経理であれば、見積りや請求書等の発行事務を効率化し、顧客対応のレスポンスをより早め、営業成果の向上や顧客満足度向上につなげている。

総務部門であれば、ルーティン業務を効率化させ、それによって生まれた時間を「従業員の働く環境の向上」に注力することで、従業員満足度の向上を図ることができるだろう。管理部門が業務効率化を進めることで、企業が利益を生み出す業務に対し、時間と人的資源を集中させることが可能になるのだ。

企業の経理・総務部門は、他部署から受けた仕事を下請けのようにこなす部署ではない。企業全体を俯瞰し、企業が時間と資本を投資すべき施策を検討する「攻める経営」を支える屋台骨なのだ。

しかし、このような業務改善をするにも、まずは「どのような業務をしているのか」を把握し、「ECRSの法則」に則って業務改善の視点を発見しないことには、改革は失敗に終わる。そもそも経理・総務は忙しくて「それどころではない」のが現状だ。

ぜひ、トップ・リーダーの意思表示とともに、メンバーの力をいかしたフォロワーシップも発揮しつつ、業務の見える化・効率化に取り組んでいっていただきたい。

※本記事は更新日時点の情報に基づいています。法改正などにより情報が変更されている可能性があります。

本コラムの著者プロフィール

米澤 智子(よねざわ ともこ)

株式会社プロデューサー・ハウス ライター、コンサルタント 2009年地方銀行入行、中小企業融資および総務部門で銀行全体の通信設備管理や働き方改革、株主総会運営に携わる。2016年中小企業診断士登録。現在は公的機関において製造業のBtoC向け販路拡大支援に携わる。
共著「一人ひとりの『働き方改革』講座」(日本マンパワー株式会社)

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