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インボイス制度によるフリーランスへの影響は?個人事業主が取るべき対策

これまでフリーランスは、年間の課税売上高が1,000万円以下であれば、消費税を国に納める必要はありませんでした。 しかし2023年10月に導入されるインボイス制度により、その状況が大きく変わってしまうかもしれないのです。また課税事業者も今後、フリーランスとの取引が大きく変わる可能性はあります。インボイス制度の導入は、フリーランスと課税事業者、双方にどういった影響をもたらすのかについてお伝えしましょう。

インボイス制度によるフリーランスへの影響は?個人事業主が取るべき対策

最終更新日:2022年08月04日

目次

フリーランスとは?

フリーランスとは、特定の企業や団体に属さず、個人で仕事を受ける人を指します。企業に属していないため、最低賃金や労働時間、有給休暇などの労働基準法は適用されません。たとえばライターやイラストレーター、編集者やカメラマン、プログラマーなどがフリーランスの代表的な職業です。

フリーランスに法的な定義はないものの、国がフリーランスに関する調査を行う際(内閣官房による統一調査、内閣府、中小企業庁)では、「自身で事業等を営んでいる」「従業員を雇用していない」「実店舗を持たない」「農林漁業従事者ではない」の4点をフリーランスの定義としています。※法人の経営者も含む

2020年2月10日~3月6日に行われた内閣官房日本経済再生総合事務局による「フリーランス実態調査結果」では、フリーランスの人数は「462万人(本業214万人/副業248万人)」。年齢層で見ると、40歳代「22%」、50歳代「20%」、60歳以上「30%」と40歳代以上が全体の72%を占めているのです。

引用:フリーランス実態調査結果|内閣官房日本経済再生総合事務局(PDF)

フリーランスに近いものとして、個人事業主があります。違いは個人事業主の場合、税務署に開業届を出している点。ただし税法上はフリーランスも個人事業主に含まれるうえ、給与ではなく報酬を得るため、変わりはないといえます。

インボイス制度とは?

では次に、インボイス制度について説明しましょう。インボイス制度とは、現行利用されている、「区分記載請求書」に、「登録番号」「適用税率及び消費税額等」を追加した書類やデータを、売り手が買い手に対して伝える制度です。

インボイス制度の詳しい内容については、「インボイス制度とは?適格請求書等保存方式の導入による経理業務への影響と対応方法」を参照ください。

インボイス制度がフリーランスに与える影響とは?

インボイス制度の概要を見たところで、次にこの制度がフリーランスにどういった影響を与えるのかについて説明します。その前にインボイス制度とフリーランスの関係性を知るうえで欠かせない、「免税事業者」と「課税事業者」について見ていきましょう。

免税事業者、課税事業者とは?

免税事業者とは、取引を行った際に得た消費税を国に納める義務のない事業者です。ただし誰もが免税事業者になれるわけではありません。特定期間の課税売上高が1,000万円以下であるといったいくつかの条件を満たす必要があります。対して課税事業者は、取引を行った際に得た消費税を国に納める義務がある事業者です。

免税事業者・課税事業者の詳しい内容については、「2023年10月インボイス制度導入、免税事業者と課税事業者それぞれの対応は?」を参照ください。

インボイス制度導入によって生まれるフリーランスのデメリット

インボイス制度の導入は、フリーランスにいくつかのデメリットを生み出します。特に次の2点は大きなデメリットといえるでしょう。

・仕事が減ってしまう可能性がある
課税事業者にとって免税事業者であるフリーランスに仕事を依頼すれば、仕入税額控除を受けられなくなってしまいます。そこで依頼主が仕入税額控除を受けられる課税事業者に依頼するようになれば、結果として免税事業者であるフリーランスの仕事は減ってしまうでしょう。

仕入税額控除についての詳細は、「事業者が消費税の支払い時に知っておきたい仕入税額控除の要件、記載事項は?」を参照ください。

・収入が減少してしまう可能性がある
仕事が減れば当然、収入も減少します。また仕事を減らさないため課税事業者になっても、これまで利益になっていた消費税を国に納めなくてはなりません。その結果、どちらの道を選択しても収入は減少してしまうのです。

ただしこれは取引先が課税事業者である場合に限った話となります。一般の消費者が主な取引相手の場合、これまでと変わらない可能性は高いでしょう。

課税事業者がフリーランスと取引を行う際のポイント

課税事業者が、インボイス制度導入後に取るべき方法は、「フリーランスとそのまま取引を行う」「課税事業者との取引に変更する」のどちらかです。ではそれぞれの方法を選択する際のポイントについて説明します。

フリーランスに依頼する際のポイント

課税事業者が免税事業者であるフリーランスに依頼すると仕入税額控除を受けられないため、国に納める消費税が多くなってしまいます。

しかしエンジニアやカメラマンなど特別な技術を必要とする仕事で、かつもっとも優秀な人材がフリーランスであれば、しっかりと検討する必要はあるものの利益を減らしてでも依頼する価値はあるでしょう。

またフリーランスに対し、仕事を依頼する代わりに報酬を減額するといった対応は法律で禁止されています。どうしても依頼を続けたい場合、減額ではなく課税事業者になるよう勧めるのも選択肢のひとつです。

課税事業者との取引に変更する際のポイント

特定のフリーランスでなければできない仕事以外では、免税事業者のフリーランスよりも課税事業者や課税事業者のフリーランスと取引したほうが、メリットは大きくなります。ただしこれまで長期間にわたり問題なく取引ができており、なおかつ取引額が高額でない場合、新たな取引先を探す手間とどちらがメリットは増えるのか、しっかり検討したほうがよいでしょう。

インボイス制度導入を前にフリーランスがとるべき対策は?

インボイス制度が導入されると、どうしてもデメリットが増えてしまうフリーランス。状況を回避するにはどうすればよいのでしょう。ここでは2つの選択肢について見ていきます。

課税事業者になる

ひとつは課税事業者になる選択肢です。売り上げを1,000万円以上にすれば、課税事業者になれます。売り上げが1,000万円以下でも、「適格請求書発行事業者の登録申請書」に加え、「消費税課税事業者選択届出書」を提出すれば、課税事業者として登録できるのです。

課税事業者になれば消費税分の収入は減るものの、これまでどおり依頼を受けられる可能性は高いといえます。

唯一無二の存在になれるよう技術を磨く

もう一つの選択肢は、免税事業者のままでもこれまでのように仕事を依頼されるほどの存在になれるよう、技術を磨くこと。免税事業者でも仕事を依頼したいと思ってもらえれば、インボイス制度の導入後も変わらず仕事を続けていけるでしょう。

課税事業者にとってフリーランスと契約を継続する際は、メリットをしっかりと検討したうえで行うことが重要

インボイス制度の導入以降、課税事業者は基本、フリーランスより課税事業者との取引に限定したほうがメリットを多く得られます。しかし金額によるものの特殊な技術を持ったフリーランスの場合、そのまま継続したほうが良いケースも十分に考えられるでしょう。

課税事業者はフリーランスとの関係性を考慮しつつ、もっともメリットが増える状況や方法の検討が必要となります。

対してフリーランスの場合、前出の厚生労働省の調査結果によると平均年収でもっとも多いのは200~300万円。仮に課税事業者になった場合、単純計算で20~30万円の減収となるでしょう。スキルアップに励みつつも、課税事業者になるかどうか、現在の取引先との関係性を考慮しつつ検討するのがよいといえます。

なお課税事業者は、インボイス制度導入に際して請求書の書式変更を含めいくつかの事前準備が必要です。インフォマートの「BtoBプラットフォーム 請求書」はインボイス制度に対応した仕組みになっています。それにより迅速な準備も叶うでしょう。インボイス制度導入の準備を始める際は、ぜひご検討ください。

出典:
フリーランス実態調査結果|内閣官房日本経済再生総合事務局(PDF)

※本記事は更新日時点の情報に基づいています。法改正などにより情報が変更されている可能性があります。

監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

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