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2023年10月インボイス制度導入、免税事業者と課税事業者それぞれの対応は?

現在、消費税の納税を免除されている免税事業者。しかし2023年10月より導入されるインボイス制度により、そのまま免税事業者でいるか、課税事業者になるか、大きな選択を迫られるようになります。課税事業者も免税事業者に対して今までどおりの取引はできなくなるため、どう対応するかを明確にしておかないといけません。 今回は、インボイス制度導入により、免税事業者と課税事業者それぞれの立場からどういった対応が必要になるかについて、お伝えします。

2023年10月インボイス制度導入、免税事業者と課税事業者それぞれの対応は?

最終更新日:2021年07月28日

目次

課税事業者と免税事業者の概要

まずは課税事業者と免税事業者の違いについて、理解しておきましょう。それぞれの概要は次のとおりです。

課税事業者とは?

課税事業者とは、商品やサービスの販売を行った際に受け取った消費税を国に納める義務がある事業者です。ただし受け取ったすべての消費税を納めるのではなく、商品や資材を仕入れた際に支払った消費税を差し引いた分だけを納めます。これを仕入税額控除と呼ぶのです。

仕入税額控除についての詳細は、「事業者が消費税の支払い時に知っておきたい仕入税額控除の要件、記載事項は?」を参照ください。

免税事業者とは?

免税事業者とは、商品やサービスの販売を行った際に受け取った消費税を国に納める義務がない事業者です。ただし免税事業者になるか否かを判断するには、次の要件を確認しなくてはなりません。

・基準期間における課税売上高が1,000万円以下
基準期間とは、前々年度(2年前)です。課税売上高は、免税取引を含め、返品や値引き、割戻しを行った対価の返還といった金額を差し引いた税抜価格となります。

・特定期間の課税売上高が1,000万円以下
基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、特定期間(その年の前年の1月1日から6月30日。法人の場合は原則、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間)での課税売上高が1,000万円を超えてしまうと、その課税期間から納税義務が発生するのです。

また課税売上高の代わりに、給与等支払額の合計額が1,000万円を超えた際も同様となります。

・ 設立から2年以内の事業者
設立から2年以内の事業者は、基準期間がないため原則、免税事業者と判断されるのです。ただし設立から2年以内でも法人の場合、資本金の額もしくは出資金の額が1,000万円以上になると課税事業者となり、納税義務の免除はありません。

以上が免税事業者と判断されるための要件です。ただし免税事業者でも何かしらの事情があり自ら、「消費税課税事業者選択届出書」を税務署に届け出ている場合、上記の要件を満たしていても課税事業者となります。

また「納税義務の免除の特定として相続があった」「被相続人の事業を継承」「合併があった」場合、納税義務は免除されません。

インボイス制度導入によって免税事業者はどう変わるのか?

前項で説明したとおり免税事業者は、これまで一定の要件を満たしていれば、消費税の納付を免除されていました。しかしインボイス制度の導入により、状況は大きく変わるのです。一体どのように変わるのか、インボイス制度の概要とともに解説します。

インボイス制度とは「適格請求書等保存方式」の通称

インボイス制度とは、2023年10月1日より導入される消費税の仕入税額控除の方式である、「適格請求書等保存方式」の通称です。商品やサービスを販売する売り手側が購入者である買い手に対し、正確な適用税率や消費税額を伝える制度となります。

インボイス制度の詳しい内容については、「インボイス制度とは?適格請求書等保存方式の導入による経理業務への影響と対応方法」を参照ください。

インボイス制度導入による免税事業者への影響

インボイス制度が導入された際、そのまま免税事業者でいた場合と課税事業者になった場合、それぞれどういった影響があるのか、説明しましょう。

・そのまま免税事業者を継続する場合
取引先が一般の消費者であるもしくは自分たちと同じ免税事業者である場合、仕入税額控除を考える必要がないため、免税事業者のままでも現状と変わりはありません。

ただし課税事業者と取引をする場合、免税事業者から仕入税額控除を受けられないため取引を断られてしまう、もしくは仕入れ額の値下げを求められる場合があります。

・課税事業者になる場合
課税事業者になれば取引先が課税事業者でも仕入税額控除が受けられるため、これまでどおり取引を継続できる可能性は高いでしょう。ただし課税事業者になった場合、これまで利益にできた消費税を国に納めなければなりません。

現時点で免税事業者の場合、そのままでいるかもしくは課税事業者になるかのどちらかを選択する必要があります。選択のポイントは、取引先が課税事業者か免税事業者(一般消費者)かどうかです。売上はどの程度あるのか、実際に課税事業者になった場合、どの程度の消費税を納税しなければならないかをしっかりと検討しましょう。

インボイス制度が導入されるのは2023年10月1日からです。しかしそのとき課税事業者になろうとしてもすぐにはなれません。導入される時点に課税事業者でいるには、2023年3月31日までに、「適格請求書発行事業者の登録申請書」にくわえ、「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要があります。

課税事業者が免税事業者と取引する際の注意点

次にインボイス制度の導入後、課税事業者側が免税事業者と取引をする際の注意点について説明しましょう。

インボイス制度の導入後、課税事業者が免税事業者と取引すると、仕入税額控除が使えなくなります。免税事業者に支払った消費税は売上で預かった消費税からマイナスできないため、そのまま損失になってしまうのです。利益だけを考えれば、免税事業者との取引は悩みの種になるでしょう。

もし免税事業者からしか仕入れができない商品・サービスである場合、相手へ課税事業者になってもらうよう求める方法があります。また取引額が少額の場合、現状のままでいる選択肢もあるのです。

ただし免税事業者のまま取引を継続する場合、課税事業者側から報酬の値下げを要求すると、下請法や消費税転嫁対策特別措置法などに違反します。この点には注意しましょう。

仕入税額控除のスケジュール

課税事業者側は、2023年10月のインボイス制度導入までに免税事業者との取引をどうするか決めなくてはならないのでしょうか? 迷った際は、仕入税額控除に設けられた猶予期間を踏まえて考えてみましょう。

期間 控除割合
2023年9月30日まで 100%
2023年10月1日~2026年9月30日まで 80%
2026年10月1日~2029年9月30日まで 50%
2029年10月1日から 0%

このスケジュールを鑑み、仕入額や免税事業者との関係性を考慮して決めるとよいでしょう。

免税事業者から課税事業者に変更する際は取引先や売上、消費税額など総合的に見たうえでの選択が重要

インボイス制度が導入されたあと、免税事業者はこれまでと同じように課税事業者と取引ができなくなってしまう可能性は高まります。課税事業者が免税事業者と取引すると、仕入税額控除が受けられないといったデメリットが生じてしまうからです。多くの免税事業者はすでに課税事業者になるかどうか、検討しているのではないでしょうか。

しかし免税事業者で居続ける点がマイナスにならない場合もあります。免税事業者は、課税事業者への変更ありきで考えるのではなく、取引先との関係性や売上、消費税額など総合的に見て、検討・選択しましょう。

2023年というと少し先に感じるかもしれません。しかし請求書の様式変更や免税事業者との再契約の交渉といった準備にかかる時間を考えると、余裕はあまりないといえます。

しかしどうやって迅速に準備を進めればよいのでしょう。そこでおすすめするのがインフォマートの「BtoBプラットフォーム 請求書」です。インボイス制度に対応しているため、迅速かつ安心して準備を進められます。これから準備を始める際はぜひ、ご相談ください。

※本記事は更新日時点の情報に基づいています。法改正などにより情報が変更されている可能性があります。

監修者プロフィール

『BtoBプラットフォーム 請求書』チーム 編集部

この記事は、株式会社インフォマートが提供する電子請求書サービス『BtoBプラットフォーム 請求書』チームの編集部が監修しており、経理や会計、請求業務に役立つわかりやすい記事の提供を目指しています。電子請求書TIMESでは、経理・経営に役立つ会計知識、DXによる業務改善、インボイス制度・改正電子帳簿保存法といったトレンド情報をご紹介します。『BtoBプラットフォーム 請求書』は請求書の発行・受取、どちらにも対応し、業務効率化を推進します。

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